W杯-2

 前半は鎌田選手が「自分のプレーとしては今シーズン最悪。このまま終わったら一生悔いが残るような内容でした」と振り返ったように、ほぼ手も足も出ないような内容。攻撃はカウンター3回と前田のヘッド一発のみ。振り回されて守備に追われて終わったという感じ。やはりドイツ強い。

 それにしてもPKは誤審じゃないですか?

 最初に権田選手が飛び出した時、相手選手は「足をひっかけられる」という想定で「倒れる」ことをイメージして半分転んで身構えていた。しかし権田選手はそれを察知してあと一歩の深追いしなかった。倒れるはずのイメージが崩れて拍子抜けした相手が体制を立て直したところに「深追い」をやめた権田選手がぶつかった。私に言わせければ、権田選手に対する相手選手の進路妨害ですね。

 あ~あ不運の判定に泣くのか...。でもキッカーはギュンドアン。直前のプレーで強烈なストレートのミドルシュートを打っていました。これは技巧的なキックではなく、真っ直ぐを突き刺してくる選手だなと直感しました。「権田、飛ぶな!!真ん中だ」と叫びましたがカタールまでは届くはずもありません(笑)。予想通りボールはほぼ正面に飛び、左に賭けた権田選手は防げませんでした。

 後半、森保監督はフォーメーションを変更。正しい判断です。ただし、自分も指導者をしていてよくあることなのですが、想定したとおりに選手が機能してくれるとは限りません。むしろ思惑通りに行かないことが多い。しかしさすが日本代表。きちんと監督の意図通りに動きが修正できていました。素晴らしい。

 そして交代投入。「ええ、浅野かよ!!上田じゃないの?」というのが正直な気持ち。私が代表監督だったら選んでいない選手(笑)。スピードがあるとの評価ですが、スピードでぶっちぎって結果を出すという場面をみたことがない。それどころか決定的なチャンスに雑なプレーでシュートミスするという印象が強い。ところがその浅野選手が超絶美技のトラップで相手の前に抜け出し、スピードを存分に生かして劇的決勝点を奪いました。ごめん!!浅野選手、トラップからシュートの流れ、素晴らしかったです。

 その前の同点ゴールは南野選手の強気の左足シュートがあったから、そして、詰めていたのが左足が得意の堂安選手というのも巡り合わせ。交代選手が皆「自分ならでは」のプレーで結果を出しました。

 見事に逆転。もしかしたら勝ち???でもそんなに上手くは行かないだろうな...と思っていたらアディショナルタイム7分!!!ホントかよ!!なんだよそれ!!。やっぱりな...いいところまで行って、でも最後は悔し涙というパターンをまた繰り返すための「悪魔の筋書き」が用意されているんだろうか...。セットプレーになるたびに「これでやられる」と思いながら見ていましたが、選手たちよく体張っていましたね。

 劣勢、逆境でもたくましく戦って逆転勝利するって、ドイツの得意技だったはず。そのドイツが逆転されて焦っているなんて、長年サッカー見てきた者としては、ちょっと信じられない光景でした。

 94年アメリカ大会予選でアディショナルタイムに失点し出場権を失い、98年フランス大会予選では韓国に逆転負けを喫して苦境のどん底に落ち、02年日韓大会ではトルコにリードされて打つ手なく敗退し、06年ドイツ大会ではオーストラリアに逆転負けを喫し、10年南アフリカ大会ではPK失敗で涙をのみ、14年ブラジル大会ではドログバの登場で浮足立って逆転負けし、18年ロシア大会では終了間際の一発のカウンターで蹴落とされました。

 「あと一歩」の勝負弱さ20年余にわたって露呈してきた日本サッカーですが、ここでようやくその「悪魔の筋書き」を断ち切ることができましたね。しかもその相手が世界一勝負強いドイツとは。約60年前、日本サッカーのために来日して尽力してくださったクラマーさんは天国でどんな感想を抱いているでしょうか?