日本、危ないですよ

 先日、国民の過半数が反対の意思を示す中で「国葬」なるものが強行されました。

 故人は在職中、特定機密保護法、武器輸出三原則撤廃、安全保障法、組織的犯罪処罰法などを数の力にモノを言わせて次々に強行採決し、自分の周囲でも刃向かう人間を粛正してきた人でしたから、18億円もの費用をつぎ込み首都圏の交通をマヒさせ、大反対を押し切って強行という形もある意味「らしい最後」と言うこともできます。

 この問題に関してメディアの調査によると、「反対」を叫んでいる人の年齢層は40代以上が多く、20代、10代は「賛成」に回っている人が多いとのこと。実際、あるニュース番組の街頭インタビューでは、若い人ほど「いいんじゃないですか」という容認論が多数を占めていました。

 インタビュアーが「なぜでそう思うのですか?」と問うと、故人が「いい人みたいだったから」という答えが大半でした。えっ、いい人?  先ほど挙げた数々の強行採決のみならず、権力、権益を振りかざした疑惑が指摘されているモリ・カケ・サクラ問題を隠蔽し、誠実正直な公務員が良心の呵責から死に至ったという事案もうやむやにしたままなのに?

 さらに「なぜいい人だったと思うのですか? 」と聞くと、「SNS見たら、ニコニコして優しい話し方だったから」「SNSまとめサイトみたら、けっこういいことやってたみたいだったから」「街頭演説やってる時に笑って手を振っているシーン見たから」...。

 まあ驚くほどSNSSNSSNS... 。言うまでもなく「政治家として」「総理大臣として」の評論、または「国葬の論拠」などに言及することは皆無で、他者が編集したネット上の情報を鵜呑みにしたまま「受け売り」の人物像を何の疑問もなく信じ、それを自分の意見の根拠としているのです。

 日本、危ないですね。すごく危ない。こんな判断力の10代、20代が今後、日本人の中核をなし、社会をつくっていくのだと思うと、戦慄します。自分の目で見ない、自分の耳で聞かない、自分の頭で考えない、引きも切らずスマホとにらめっこしたまま、誰かが「それらしく」作った情報を信じ、拡散しあって皆が「似たような」考えにまとまっていく...恐ろしい、恐ろしい。

 それこそ「サタンが日本を滅ぼす」みたいな情報も、もっともらしい理屈を付けて拡散すれば「ほんとかも...」と思うようになるのでしょうね。実際いろいろな「陰謀論」なるものがネット上では一定の人たちに信じられているようですから。

 それにしても「ついに、ここまで来たか」というのが正直な思いです。考えてみれば、年端もいかない頃からツイッター、インスタグラムなどで「いいね」を貰うためにどうやって「情報操作」するかにエネルギーを費やしている世代。「盛った」加工をしたかどうかは問題ではなく、結果として見た目が「映え」ていれば全てOKという価値観なのですから、「そのように見せる」ことに長けた者が支持を集めていく世の中に変わっていくのでしょう。

 つくづく自分がアナログ世代でよかった、と思う次第です。