冷静に分析するということ

 昨年末に行われたクラブW杯。
 一昨年の大会でレアルに食い下がった鹿島アントラーズは「今年こそレアルを倒す」という意気込みで臨みましたが、今度は1-3で完膚なきまでの完敗。3位決定戦でも南米代表のリーベルプレートに0-4の大敗を喫しました。
 この差、現実です。一度の善戦で「行けるかも」と期待を持つことは仕方がないとは思いますが、同時に冷静な分析、見極めも必要です。欧州や南米の強豪が、気を抜かずに本気で「勝ちにきた」場合、日本サッカーの実力ではまだまだ太刀打ち出来ないのが現実です。「世界に近づいた」などと自分勝手な楽観論は軽々に語るべきではないでしょう。
 さて、「日本大健闘」と誰もが思っている2018ロシアW杯ですが、果たしてそうだったでしょうか?
 日本代表は4試合して1勝2敗1分け。たった一つの勝利しか挙げることができず、しかもその1勝は開始早々に10人になった相手(コロンビア)に対して...と見ていくと、決して良い結果とは言えません。
 決勝トーナメント進出を賭けた大一番、「勝てば望みが叶う」というポーランド戦では、あっさり先制点を奪われて0-1の負け。途中から「敢えて」敗戦を選択し、ルールの条項を利用して決勝トーナメントに進めはしましたが、真価が試される勝負を自力で制することができなかったことは事実です。
 決勝トーナメント進出の結果はあくまで幸運な巡り合わせに過ぎず、世界の壁を実力でこじ開ける、という域には達してはいないわけです。
 2-3と惜敗だったベルギー戦の結果が「果敢な討ち死に」というイメージを残したために、「世界と戦えた」という勘違いを生む要因になっているのかもしれません。しかし、過去、優勝候補をあと一歩というところまで追い詰めた、などという試合は腐るほどありますし、優勝チームをグループリーグの段階では破っている、などという試合すらもあるわけです。
 私たちはベルギー戦よりも、既に決勝トーナメント進出の望みが絶たれて日本戦が「消化試合」だったポーランドに勝ち切れなかった、という現実の方を重く受け止めねばなりません。4試合でたった1勝しかできず、勝負のかかった試合を0-1で落としている、という事実をどう分析するのか...そこに日本サッカーの今後がかかっています。
 「見たいこと」ばかりを見て、「見たくないこと」を避けていては進歩はありません。