強国を苦しめたリアリズム

 W杯の試合、面白いですね。日本代表のグダグダしたパス見ていると眠くなっちゃうんですけど、W杯はあっという間に時間がたっちゃう。日本代表みたいに「とりあえず隣に預けておく」的な無責任なパスがなくて、一つひとつのプレーに意味が読み取れるから面白い。ガンガン、タテに勝負もしていくし。
 アルゼンチンを苦しめたアイスランド、ブラジルを手こずらせたスイス、そしてドイツを撃破したメキシコ、素晴らしいですね。「勝ち点3は獲得は確実」としていた相手の思惑を見事に打ち砕いた。
 何が素晴らしいって、3チームとも自分たちのできること、できないことてをしっかり理解して、「できること」に全てのエネルギーを注入していること。「いいサッカー」とか「将来につながるサッカー」とか「美しいサッカー」とか「スペクタクル」なんて美辞麗句は唱えないで、「どうやったら戦えるか」というリアリズムに徹する。実際、アイスランドなんか、とても「かっこいい」サッカーとは言えないけど、何だか頑張り方に感動しちゃう。
 それにしてもメキシコ、すごいですね。もともとテクニックを活かした局地戦はお得意だけれども、ガツンとくるフィジカルでも一回り大きなドイツと勇敢に渡り合っていた。足元で回すプレーも十分にでき力があるのに、がっちり守ってからカエンターを繰り出す戦術を徹底。しかもそれがまぁ見事に鋭い。
 どこかの国みたいに「フィジカルでは負けるから」「アジリティが強みだからショートバス主体で」などと自ら進んで殻に閉じこもるようなことはしないで、全ての分野で対等にと渡り合いつつ、最も自分たちの持ち味が生きる形で堂々と世界王者から得点をもぎ取った。
 そのカウンター攻撃の起点として活躍していたのがチチャリートことH・エルナンデス。日本人と変わらない体格でもゴール量産するストライカー。別に重戦車型でなくても、バワーヒッターでなくても、、ああいうストライカーもあり、というよい手本。いつまでも「みんなでバスを回して...」なんて言ってるだけじゃなくて、チチャリートみたいな選手、どんどん育てましょうよ。(写真は得点したロサノです)