日本のパスサッカーに対する???をまとめました

 拙著の刊行をお知らせします。タイトルは「脱パスサッカー論」(ベースボールマガジン社、定価1300円・税別)です。
 日本のサッカーが世界の強豪国と戦うためには、組織力を生かしたバスサッカーを推進させることが肝要...と多くの人が信じてます。そして、パスサッカーを研ぎすますためにはポゼッション率を高めて常に主導権を握るゲーム展開が必要とされています。
 その結果、今や全国津々浦々、多くのチームが毎日のようにポゼッション練習に励んみ、小学生から大人まで、とにかく日本中、バスだけはよくつながるようになりました。しかし、ユース年代代表も五輪代表もフル代表も、バスがよくつながり、ポゼッション率で大きく上回る試合展開ながら、相手にワンチャンスを決められて失点、攻勢をとりながら結局は勝てない...という試合を何度も繰り返します。
 この本は、そのように「バスはよくつながるのだが勝ち切れない」ことの原因は、そもそも「日本の強み」だと信じられているパスそのものにあるのではないか、という視点から書かれています。実はバスサッカーこそが、日本を強くするための推進力にブレーキをかけている一番のマイナス要因ではないか、という分析を示しています。
 パスが多くつながれば「面白い」展開であり、一本のタテバスで得点を上げることは「つまらない」プレーだとする視点、たとえ負けても技術と連携の高さが誇示できれば「こちらの方が良いサッカーをしていた」と自己満足する視点、それらも、今の日本に必要な「真の勝負強さ」を育てていく環境づくりの障害になっているのではないか、という説も展開しています。
 その他、私たちがバスサッカーに惹きつけられる要因を探求したり、日本人が個人技と連携プレーをどのように解釈しているのかを蹴鞠や伝統芸能などから分析したりするページも用意してあります。自分で言うのもなんですが、結構、面白い仕上がりになっていると思います。
 ブラジルW杯で日本代表がどのような戦い方をするのか、この本の内容を検証しながら観ていただくと面白いと思います。