検査の意味

 少年の大会で試合前に毎回、奇妙な「検査」があります。
 まず「爪の検査」。伸びていると危険という意味はわかります。しかし、「これだめだな、切ってきて」とNG出されるケースで、本当に「危ないな」と思うことは、まずありません。そんなんで怪我することなんて絶対にないよ..と思える程度。事実、40年も少年サッカーにかわってきて、爪が伸びていたことが原因という怪我に出会ったことは一度たりともありません。
 でも「切ってきて」と。「えっ深爪になっちゃうじゃん」というレベルを要求してくる。ほとんど「検査官としての権威」の振りかざしにしか思えない。
 次はシューズの検査。金属スタッドのついた、いわゆる「取り替え式」のシューズはNGなので、それを履いていないかのチェック。でもねぇ、長年、少年サッカーに関わっていますが、金属スタッドのシューズ履いている子どもなんか、まず見たことないですよ。でもまぁ取りあえずチェック。
 ここで面白いのは「ハイ右足の裏見せて」という指示。左利きの子が何の気なしに左足の裏を見せていると「右足だよ、右足」と訂正させる。はぁ?見たいのは靴底じゃないの? 左右どっち足が先か後かなんて全然関係ないじゃん(笑)。
 もっと笑っちゃうのは、右足の靴底を確認したあと、「は~い次は左足」と言うこと。はぁ?左右で違う靴底のシーズ履いている子っているの?片足見りゃ十分でしょうに(笑)。でも、こんなことを大の中年男が真面目な顔してやっている。練習試合の時は爪が伸びてても、どんな靴を履いていても、普通にプレーしてて何の事故も起きていないのに。
 そんな検査、意味あるんですか?..というやつ自動車業界にもありました。日産、スバルが大変なことになっています。資格のない人の最終検査、もう何十年もやっていたことだと。ひどい会社だとメディアは袋だたきにしています。
 でも考えてみればおかしな事ですよね。だってそれで何十年もやってて、クルマはちゃんと無事に走り続けているのですから。点検ミスが原因で事故、という報道、見たことないですよね。
 ということは、何のためのチェックだったの? それ、いらないんじゃないのって思ってしまいますよね。裏返せば、その程度のことだからメーカーも気安く資格なしの人に委ねていたんでしょう。要は、国土交通省だとかの規定そのものが非現実的ということでしょう。
 人の命にかかわることだから、念には念を入れるということなのでしょうけど、それにしてもね。バカバカしいことに無駄なエネルギーを使わないようにしたいものです。