印象操作

 70年代中盤に「皇帝」と呼ばれたドイツの名選手ベッケンバウアーは、冷静沈着なキャブテンシーで知られます。 しかし実際の彼は激情の人でした。激しく感情を爆発させてしまう本性ゆえに、ピッチでは「冷静沈着なキャプテン」を演じることに専念、自分の本性と真逆の行動を取ることに酔っていた...と言われています。今、はやりの言葉で言えば、自分自身の「印象操作」です。
 さて、自分に都合の悪いことを指摘されると「印象操作だ!」と息巻くアベちゃん。ははぁ、ではかく言うアナタは印象操作していないんですか?
 外遊で飛行機のタラップ上り下りするときだけ、婦人と手をつなぎますよね。あれって、日常生活で恒常的にやっていることですか? 違うよね。他の場面で、二人が並んで手をつないで歩いているところ、見たことがない。
 あのシーン見せられても、二人が日常生活でも自然に仲良く手をつないでいるとは到底思えない。どう考えてもあの場だけの「とってつけたような」こととしか見えない。TVに映るということで、西欧の首脳夫妻をまねて「仲むつまじい」ということを「演出」しているんだろうと。そういうの「印象操作」っていうんですよ。
 庶民の気持ちを理解してます、末端の人々の生活を考えてますってことで、商店、飲食店などに立ち寄っている姿を報道させることありますよね。ほんとうにあんな店、行くんですか普段...って感じ。2~3分、立ち寄って、店主に得意料理を振る舞われて「ウマイっ!」なんて笑顔つくる。それで、いい「絵」が撮れたら完食すらせずに、そそくさと立ち去ってしまう。その後、その店には二度と来ることはない。これもミエミエの「印象操作」。
 まだまだありますよ。内閣会議だとか、与野党代表会議だとかの前の報道用の撮影。悪人ヅラした政治家がみ~んな揃ってTVカメラに向かってキモチ悪~いつくり笑顔してるじゃないですか。あれほど不自然な笑顔はこの世にないんじゃないかというほどのキモチ悪い笑顔(笑)。あれだって「印象操操作」。
 そもそも選挙そのものが「印象操作」。電通博報堂かはしらないけれど、彼らが「仕事」として党の選挙戦略を引き受けて、キャッチフレーズ、スローガン、イメージカラーなどを設定していくわけです。何色のスーツで何色のネクタイをして、どういう手振り、口ぶりで何を強調すればいいか、ということを戦略として政治家に授ける。そう、CMづくりと全く同じ。モロに「印象操作」そのものなのです。
 そうやって自分自身があらゆる「印象操作」の上に鎮座しているわけですから、政敵にだけ「印象操作するな」と言ってもまったく説得力がないわけです。
 でも一生懸命「印象操作」しても、ついふとした瞬間に「本性」は出てしまいますよね。予算委員会や国会でアベちゃん自ら飛ばす不規則ヤジのお下劣で低レベルであることといったら...。ああ、ホントはこういう人なのだなって思うわけです。