まぁよくもあんなに変わるものだ

 ハリルジャバンがイラクに快勝しました。かつてのニッポンとはうって変わって、ガンガン、タテに仕掛けるプレー....変わればかわるものですね。
 激しくボール奪取をしかけて積極的にタテに出て行くプレーが今後、気候、コンディションに関わりなく継続し続けられるか否かはともかく、チンタラとボールをタライ回しし続けていたプレーとは、まるで別モノのように豹変しました。
 監督たった一人の影響力でこれほどまでにサッカーの根幹が変わるものなのか...とハリルホジッチ監督の指導力に敬意を表すると同時に、いとも簡単にプレーの質を変えた選手たちにも驚き、また、それを喝采とともに受け入れたファンやメディアにも驚きます。
 ポゼッション崇拝主義の時代にあんなサッカーやったとしたら「タテに急ぎ過ぎ」だとか「消耗が激しくて一試合もつはずはない」とか「フィジカルを前面に押し出すことは得策ではない」とか、いろいろとケチつけられたでしょうね。
 タテに急がずにボールを丁寧につないで...というコンセプトが金科玉条の時代に、何んだかユルイな~。つないで取られても勝負して取られても同じことじゃん...という私の声なんざ「キチンとつなぐのことこそがニッポンらしさ」という大合唱にいともあっけなく押し潰されていましたからね(笑)。あの「ニッポンらしさ」を語った人たちは、今、しらん顔して「タテへの早さがいいですね~」と言っているんでしょうね。
 明治維新、太平洋戦争の敗戦と、180度真逆への変わり身の見事さは日本人の得意技ですからね。そういう意味では、解説者やコメンテーターも、終始一貫というのはダメで、コウモリのごとく「世の空気」を読むことが必用なのでしょうね。一つの真実を追求しちゃだめなんですね。節操のない大衆に迎合できなきゃいけない。空気を読んで、皆が喜びそうな事を言わねばならない。
 ま、あのタテに早い攻撃が通用しない段階になった時「やっばり丁寧な組み立ては大切なんですよ」という、もっともらしい話が出てくるのでしょう。そしたらまた同じ人が「そうですよね。タテばかりには限界がありますから」と解説するんでしょうね(笑)。