卒と出身

 早稲田大学がアスリートプロクラムなる制度を開始したそうです。
 運動部の部員で最低基準単位を二学期連続で下回った選手が、練習時間の制限や対外試合の出場停止処分要請を受けることになるとのこと。学習支援のアドバイザーを置き、単位取得の指導もあるとのこと。
 まぁ学校側が「要請」するというだけですから、監督が「はい、わかりました。勉強してないバカなやつは試合に出しません」と素直に同意することはないでしょうね。
 きっとそういう選手でも何とか切り抜けるウラ道をつくるねのでしょう。だってそもそも、そういうスポーツ・・(笑)が学力不問入学できる時点で「最高学府」というプライドをかなぐり捨てているわけですからね。運動部側にしてみれば、何を今さら学力の話を持ち出してくれるのだ....ということにななるのでは...。
 それにしても、名門といわれる大学で筋肉ムキムキの大人が「学習支援」なるものを受けるのですと。憐れですね。惨めですね。大学でオベンキョーの仕方を習うのですから。
 そんな話をしていたら、スポーツ新聞の取材をしている知人がこんなこと言ってました。
 「永井さん。スポーツ選手がよく~大学“出身”と紹介されるでしょ。あれ、卒業していないんですよ。ちゃんと卒業したのは~大学“卒”と紹介される。出身と紹介されるのは学生としてきちんと単位を取って卒業できなかったやつですよ」
 なるほど。そういうカラクリですか。
 でも、学校は知的レベルがどうであれ、ユニフォームを着て活躍してメディアで騒がれてくれれば「宣伝」として大成功なわけですし、学生側は学力では到底、入れないところに筋肉力(笑)で入れてもらい「出身」という肩書きをもらうのですから、双方ウイン・ウインの関係でもあるわけです。
 何でも就職の時には名門大学と言われるところでないと、説明会の受け付け時間の開始と同時に「定員に達したため締め切りました」という通知が来る「学歴フィルター」なる制度があるとのこと。
 学習支援アドバイザーにオベンキーの仕方を習って青息吐息で“卒”という資格を得た人も、そのフィルターを通過できるというわけですね。