二人のトッププロ選手の素晴らしい活動があります。
サッカーの元日本代表・岡崎慎司選手が、出身校の地元、神戸市西区にサッカー場を建設しています。土地は岡崎選手が自ら購入、建設と運営に関しては、在校時代の友人たちと立ち上げた一般社団法人のメンバーが推進するとのこと。
サッカーのフルピッチに地元産の作物を並べるマーケットを併設、駐車場と合わせて三段構造になっているとのことで、構想のイメージはドイツのチームでプレーしている時に見た彼の地の環境だといいます。
「こういう場所が必要なのだ」という岡崎選手の思い、とてもよくわかります。私もドイツ、イングランドなどを取材して歩く中で、まったく同じ思いを抱きました。「これだ、これ、これを日本にもつくらねばならないのだ」と。私は岡崎選手ほどの財力がありませんでしたから(笑)、自分が運営するチームを欧州のクラブ型に整備し、地元密着の活動を推進することで理想に近づこうとしました。
同じような思いを抱いてているサッカー関係者は多数いるでしょうが、実際に自費を投じて行動に移す例はあまりありません。グラウンドづくりや運営などは、決して「割りのいい」商売ではありません。岡崎選手ほどのネームバリューがある選手のセカンドキャリアを考えるなら、もっと「カネになる」話はいくらでもあります。
あえて理想や理念のために私財を投じるという岡崎選手の思いはほんとうに素晴らしい。危険を顧みず、頭からボールに飛び込んでいく岡崎選手のプレーは、損得ではなく「意義」のあることに第二の人生を賭けてくれる「心意気」に繋がっているのだと思いました。
野球の筒香嘉智選手も、自費を投じて野球場の建設に取り組んでいます。出身地の和歌山県・橋本市に両翼100mの球場、内野グラウンド、室内練習場を併設した施設がつくられます。少年たちの体への負担を考え、球場は天然芝にこだわっているとのこと。
筒香選手はかねてから、少年たちの育成に関して持論を展開してきました。非合理的な練習内容、過度な身体への負担、心理的な圧迫...日本の野球界に根づく悪しき慣習の改善を求めて、ことあるごとに発言しています。最上級の現役ホームランバッターの提言は、その都度、メディアで取り上げられてきました。
そうした提言を実現させめために、自ら理想の環境を作ってしまおうというのです。岡崎選手同様、メジャーリーグで活躍するほどのビッグネームのセカンドキャリアを考えたなら、もっと効率よく報酬が得られる活動はいくらでもあります。学習塾経営ならともかく、スポーツの少年育成などまったく「カネにならない(笑)」活動です。それをあえてやろうという。
ベィスターズでガンガン、ホームランを打ち、メジャーでも一流投手の速球をスタンドに打ち込んでいる筒香選手。「筒香選手のようになりたい...」という動機は、他のいかなる方法よりも説得力があるでしょう。筒香選手の理想の原点は強打者の量産国ドミニカとのこと。和歌山から第二、第三のメジャーリーガー強打者が生まれることを期待しています。