勘違い

 先日、プレミアリーグの解説をさせていただいているCS局・Jスポーツに、四十代の女性から「永井洋一さんの解説について」というメールが寄せられました。

 私の解説の中の言葉の使い方の誤りを指摘するものでした。「役不足」という言葉についてのご指摘です。私は、ある選手があるポジションで一つの役割を与えられたとき、その期待に応えられず、力がうまく発揮できかなった場合、その選手をやんわり批判する意味で「彼には役不足ですね」というように使っていました。
 ところが、この用法は誤りなのです。
 「役不足」とは本来、私の意図した使い方とは逆で、俳優(選手)の力量に対して役が不当に軽いことを意味するのだそうです。例えば、マンチェスターUのエース、ルーニーサイドバックで起用するようなことがあったなら、「彼の並外れた得点力を考えれば、サイドバック役不足だろう」というように使うわけです。
 皆さんはこの「役不足」という言葉、間違えて使っていませんでしたか?恥ずかしながら私はずっと勘違いをしていました。そして、こともあろうに放送の電波に乗せて、長年、間違った用法で語っていました。まず視聴者の皆様にお詫びを申し上げます。ご指摘をしてくれた女性には直接、お礼のメールを差し上げようとしたのですが、局で視聴者のアドレスを把握できる状態になっておらず、できませんでした。ですので、このブログを読んでおられるかはわかりませんが、この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。
 時々ニュースでやっていますが、言葉が本来の意味とは違う解釈で使われていること、ありますよね。人々の慣用にまかせればいい、という考え方と、あくまで正しい使い方を、という考え方があるようです。この「役不足」の件をきっかけに、気にかかる言葉はきちんと調べてみようと思います。