コドモ文化、オトナ文化

 先日、AKB48が人気を博している要因について、プロデューサーの秋本康氏がこんな主旨のことを言ってました。「歌のもヘタで踊りもヘタ。そんな未完成な女の子たちが成長する過程を楽しんでもらっているのかも」。
 な~るほど。さすがに大衆迎合の神。その通りですな。日本人男性の性向をよく知っている。どーも日本人男性はおしなべて成熟した女性に堂々とアプローチしてオトせる自信がない。だから、半人前で「ダマるせる」「ゴマかせる」余地を残した未成熟なオンナが好きになる。つまり「女性」ではなくて「オンナの子」の方がいい。

 舌っ足らずやドジ、天然、そんなものにめっぽう弱い。ぶりっこだって、まだまだ健在。少女趣味。それでも、心の底はものすごくスケベだから、できたらカラダは大人の方がいい。その結果、グラマーボテイーだけど童顔、中身は素直な天然みたいなオンナの子が爆発的に人気が出る。今のアニメで描かれているキャラクターなんかも、みんなこれ。そう、オジさん世代ではアグネス・ラムなんちゅうタレントがいましたど、これなんかこの条件が揃った典型的な日本人男性殺しのパターンでした。
 だからでしょうか。日本ではいつまでたっても高校スポーツがプロに負けず人気なのは。体は大人、だけど、中身はまだ子ども。プレーは一流に近いものを披露することもある一方、人間的なも未熟さで勝ち負けが左右される。そんな「脆さ」「危さ」にハラハラしながら手に汗握る。

 指導者も高校生を教えたがる人が多いですよね。これも根っこは同じ。プレーは大人に近いから高度なことを追究できる一方で、中身は子どもだから屁理屈言わずに素直に言うことを聞いてくれる。つまり、一番、てっとりばやくトップスポーツ「的」な世界をまねできる。
 ただ、その結果、裾野の広さの割には世界に認められる人材が輩出されにくいのは音楽会もスポーツ界も同じ。学芸会みたいな歌とダンスに一喜一憂しているようでは、グラミー賞など遠い世界のこと。中学や高校で勝った負けたと大騒ぎしているようでは世界、アジアは言うまでもなく、お隣の韓国、中国にもかなわない。
 もう少し、本物の大人文化を成熟させましょうよ。