スポーツはよい子を育てるか

 先日、NHK出版から連絡があり、拙著「スポーツはよい子を育てるか」が第8版に増刷されたとのことでした。

著者として大変、嬉しいことです。最初に原稿を書き、いくつかの出版社にかけあった時、「この内容では難しい」と何社かにお断りされました。その本が8版までいったのですから、わからないものですね。
 「増刷は大変喜ばしいことですが、永井さんの主張が未だ必要とされているということは、少年スポーツを巡る環境がまだまだ改善されていないということですね。複雑な気分です」という編集者のメッセージは納得でした。
 講演に呼ばれた後に、参加者のアンケートを送付いただくことがよくあります。その中で最も多いのが「今ままでモヤモヤして胸の奥につっかえていたことが、今日ではっきりしました」という感想です。「何か変だな」と思いつつも、それまでは何がどのように変なのかを上手に整理して考えられなかったのでしょう。そんな方々がスポーツへの新たな視点を持つためのお手伝いができたとしたなら本望です。
 初版は2004年ですから、当時、小学生高学年だった子どもたちは、既に大学生になっているはずです。小学生の時のスポーツ環境が後の人生にどのような影響を与えているのか、ようやく実際に検証してみることのできる時になりました。みなさん、どうぞ当時と今を比べて、子ども時代のスポーツが今の彼、彼女にどう関係しているかを読み解いてみて下さい。