ナイター利用を巡る横浜市の対応

 震災以来、市、県の施設でナイター照明を使ったスポーツ活動が中止されています。震災当初は被災地への配慮という心理的な要素も大きかったでしょう。しかし、復旧が進むと共に、それは節電の意義が中心になりました。
 まだまだ被災地では大変な生活を強いられている方々が大勢いらして、未だ行方不明の方もおられます。しかし、いつまでも自粛自粛では社会が機能せず、それは巡り巡って復興の妨げになるということで「分をわきまえた」中での日常を取り戻そうとする機運が高まっています。
 私たちの生活に直接関係する最も大きな事項は、電力削減です。政府は15%削減を指標とし、学校でも職場でも公共の場所でも、それに応じた節電が実施されています。そんな中、私たち社会人に欠かせないスボーツ施設のナイター使用は100%ストップのままです。
 

東京ドームが節電の工夫をしながら利用再開しました。東京ディズニーランドも独自の節電対応をしながら開園しています。先日、被災地の釜石でラグビーチームが練習再開というニュースが報道されました。ナイターを点灯しての練習です。神奈川県内の自治体でも、市民へのナイター開放を再開したところがあります。
 そうした現状の中、我がチームの本拠地、横浜市当局に、ナイター利用の再開は考えられないかと問い合わせてみました。政府が15%電力削減を指導する中、前と同じようにナイター使用を100%元に戻せというのは暴論であることくらいわかってます。しかし、15%削減に応じて、例えば週に5日だけ再開するとか、あるいは、ここまで2時間だった利用時間を1時間半で切り上げるとか、そのような形で削減指針に沿った利用再開はできないものか、という相談です。
 横浜市からの回答には失望しました。もちろんナイター利用は不可、しかも何と9月まで。15%削減に応じた対応はできないのかという問いには「みなさんに節電を呼びかけている中、難しい」。「難しい」という意味は、具体的には?と問えば。「ナイター施設の周囲の住民から『夜間点灯はいかがなものか』という苦情が来るかもしれない」とのこと。わかりました。では、周辺住民にそのような聞き取り調査やアンケート調査をしたのですか? と問えば 「していません」。ではなぜそのような意見が出ると決めつけるのですか? 「..........」。
 視点を変えましょう。横浜市では4月から夜間の体育館利用は再開されています。なぜ体育館はOKでグラウンドはダメなのですか? 「それは消費電力の違いです」。わかりました、具体的にどれくらいの差がありますか。「........」。判らないのに何となくで言っているのですか?「多分、グラウンドは体育館の5倍くらいかと.....」。判りました。ではグラウンドが5倍の電力を使うというのなら、グラウンドは平時の5分の1に使用時間を縮小するということで、週1日あるいは2日を使用する、ということはできないでしょうか? 「あの....問題はそうした具体的な電力の消費量だけではなくて...」。ええ~電力消費の問題ではないのですか? それなら何が問題なのですか?「やはり夜、明かりが付いていると、それを見た人が何と思うか....」。体育館だって夜、明明と点灯していますよ。「体育館とグラウンドでは見た感じが.....」。ええ~見た目の問題ということですか? 「......そうです」。
 もう一度聞きますけど見た目、ですか!!!!。客観的な数値、データ上の消費電力の問題ではないのですか?「......そうです」。つまり、あななたちは被災地の復興や政府の指針を鑑みて結論を導き出したのではなくて、自分たち市役所が世間からどう見られているか、ということが気になるということなのですね。自分だけはいい子でいたい、ということなのですね? 「..........」。そうして自分たちの体面を保つだけではなくて、市民のために数値やデータに基づいた「賢い」指針を出す姿勢はないのですか?「.......」。
 あなたたちは市民が拠出する税金から給料をもらっているのだから、このような方針、指導、政令等を出すときは、調査やデータ収集をきちんとして、納税者が納得するようなプロセスを経て、発表してくれませんか。それがあななたちの仕事でしょう? 「実は電力の問題ではなく見た目の問題なのです」などといわれて納得できるわけないでしょう!!!「.......」。
 あ~あ、もう辞めた。のれんに腕押し、柳に風。馬耳東風。この間、10回以上にわたり「今回のことでは皆様方に本当にご不便をおかけして大変申し訳なく思っています』という、私がこれまでに聞いた中でも「心のこもっていない空虚な言葉」ランキングのベスト5入り確実の機械的音声を聞かされましたよ。
 ろくに調査もせず、データ収集もせず、市民の方を見ずに周囲を見て保身丸出しの決定をする。「消費電力の問題」というから突っ込めば「実は見た目の問題」と言葉を翻す。心のこもっていない空虚なお詫びの言葉を連発する。市役所の仕事って楽というか、ユルイというか....。担当した仕事への誇りとか、人間としてのプライドとか、そういうものはないのですかね。そーか、ないから公務員になったんだ。