へぇ~ぞうきんがけですか!?

 子どもの体力に関する文部科学省の発表がありました。子どもの体力は、二極分化が進んでいるとのこと。その差は、一昔前に比べて50走やボール投げなどで特に開きが大きくなっているようです。
文部科学省は原因として「ぞうきんがけなど、日頃、体を使う習慣がすくなくなったから」とトポケたコメントを出しています。へぇ~ぞうきんがけねぇ。これ、笑いを取るためのウケ狙いでしょうか? まぁスポーツなんかほどほどに、せっせとオベンキョーはかりして役所に潜り込み、あとは自分の出世ばかり考えている人たちが、汗をかかずに資料や報告を読むばかりで出すコメントですから、もともと、いかほどの価値もないものではありますが...。
 子どもの体力の格差がひろがる懸念は拙著「スポーツはよい子を育てるか」(2004年刊)ですでに警告していたことです。野球、サッカー、ミニバスケットなど、スホーツのクラブに参加し、かつ、そこで指導者に認められ活躍している子たちと、そうでない子との体力差は、近年、加速度的に広がっていきます。
 原因は「ぞうきんがけ」ではありません(笑)。全ては勝利第一主義の弊害です。運動能力の高い子どもばかりを集めて高度な専門指導を叩き込む。そんな少年スポーツの組織が闊歩しているからこそ、「普通の子」がスポーツを気楽に楽しめない環境が広がっているのです。
 今や、ごく普通の少年チームでさえ、結構な運動能力のレベルがないと、公式戦に出場するなどの十分な経験を積ませてもらえません。それどころか、足手まといと思われる能力の低い子には、わざと試合の連絡網を回さずに意図的に欠席させるなどのいやがらせもあるのです(実話です)。結局、運動能力の高くない子は、スポーツに触れる環境から自然にまびかれていくような仕組みを、大人がつくってしまっているのです。これを私は拙著で「ゆるやかなセレクション」と名付けました。
 こうした「大人の自己満足」のために子どもを振り回すような勝利第一主義の環境をなんとかしなければ、子どもの体力格差は開くばかりでしょう。