W杯招致

 2018年W杯がロシア、2022年W杯がカタールで開催されることになりました。ともに競技場、宿泊施設、交通網、安全性、運営力などに関する事前調査の評価が高くなかった候補地だけに、意外な結果と受け止めている人も多いようです。
 もちろん、ロシアは東ヨーロッパ初、カタールは中東(アラブ地域)初という点で、サッカーの発展を世界の隅々に広く求めていく主旨は通っていると思います。しかし、先ほども触れたように事前調査で高く評価されていなかった部分があっさり覆されたことは、2018年で本命と言われていたイングランドからすれば、納得のいかないことでしょう。


 イングランドの招致委員超は「(投票の確約について)目を見て握手をし、イエスと言ったなら、それを信じるのが普通だが...」と嘆いています。元代表監督のテイラー氏は、「FIFAの人間は以前から面と向かってイエスと言い、背中に回ってNOと言うような人ばかりだが、その体質はちっとも変わっていない。カタールは素晴らしい経済発展をしているが、そのどこにフットボールのハートと魂があるというのだ」と批判しています。
 ガーディアン、ミラーなどイングランドのメディアはW杯招致を巡る賄賂の授受に関して、おとり捜査でFIFA役員の不祥事をすっぱぬいたばかり。イングランド外しはその報復ともささやかれています。もちろん、イングランド外しの確固たる根拠はありません。しかしその一方で、ロシアもカタールも、ガス、石油など豊富な天然資源による巨額の資金をうならせたことを考えると、理事たちにどのようなアプローチをしたのか、想像を逞しくしてしまいます。
 日本を蹴落として開催地となったカタールは、日中の気温40~50度の中、スタジアム内を27度程度に保つシステムを導入するのだとか。02年日韓大会の時も当初はバーチャルリアリティという特殊な放映方法が採用される予定でしたが、実現しませんでした。
 もし、カタールの冷却システムが完備されなかったら....。あるいは、スタジアム内はいいとして、観戦者の移動、待機に関しては40~50度を堪え忍ばねばならないのでしょうか。日本のように時間通り公共交通が機能するとも思えませんし(偏見でしょうかね?)。FIFAのお歴々をはじめ、お偉方は専用の車でドア・トゥー・ドアで移動し、隔離された快適な場所で飲み食いし、最高の席で観戦しますから、庶民の気持ちなど想像もつかないでしょうね。
 ところで、W杯につきものの、まがいもののユニフォームを売るバッタ屋さんたち、カタールではどこに店を広げるのでしょうね。命がけですね。