インテルお前もか!!!!

 また心理の難しさの話です。
 欧州チャンピオンズリーグ・グルーブステージ。ミラノで行われたインテルvsトットナムホットスパー(スパーズ)。インテルは開始1分台に早くも先制、続いて相手GKの退場になるPKを得て2-0、10人になった相手にさらに追加点を入れて、20分もたたないうちに3-0のリード。前半にもう一点加えて4-0となった時点で、一体どれくらい大差がつくのかといった状況になりました。
 しかし0-4とされた10人のスパースが後半に奮起、左サイドのギャレス・ベイルハットトリックの大活躍で最終的には4-3まで追い上げました。
 ご存じのようにこの大会はホーム・アンド・アウェイの二試合合計点で勝ち負けが決まります。一勝一敗で同勝ち点の場合はゴール数の勝負になりますが、その際、敵地で挙げたゴールは2倍に換算されます。ですから、もしスパーズがロンドンのホームに戻り、インテルに勝って一勝一敗とした場合、ここで奪った3点は6点に換算されます。大きな3点でした。
 簡単に4-0としたインテルの選手たちの心の緩みは、とても大きな代償を払うことになりました。もちろん、インテルは次にロンドンに乗り込んだ時、勝って二勝とするか、引き分けて一勝一分けとすれば問題はありません。しかしスパーズに先に1点を奪われ、一勝一敗になる怖さを感じるようなことになると、なかなか難しくなるでしょう。
 しかしスパーズにも難しい心理が待ち受けています。ロンドンで先に1点を奪い、二試合合計の勝利が見えた時の気のゆるみです。逃げ切りたいという心理の中で、どこかで1点を返され引き分けの怖さが感じられるようになると、これもまた難しい。相手は堅く守ってからのカウンターが上手いチームですから。
 あまり現実的ではありませんが、ロンドンの試合が点の取り合いになって5-4でスパーズ勝利の場合、インテルは計14点(ホーム4点、アウェイ4点が2倍で8点)、スパーズは計11点(ホーム5点、アウェイ3点が2倍で6点)となり、インテル勝利となってしまいます。スパーズは取られたら取り返せばいい、というものでもないのです。シーソーゲームを制したとしても、失点は3点までしか許せません。
 水曜の夜にイタリア・ミラノでインテルと激しい闘いをしたスパーズは、すくにイギリス・ロンドンに戻って土曜日、プレミアリーグを闘わねばなりません。たった中二日でイタリア・イギリス間を移動して真剣勝負の連戦。「心を緩ませてはダメだ」などといっても無理なことかもしれませんね。
 ちなみに土曜日のスパーズvsエバートンは私の解説担当ですので、ぜひ番組をご覧下さい。