チェルシーvsスパーズ

 4月30日、首位マンチェスターUを追う2位チェルシーは、ホームスタジアムのスタンフォードブリッジにロンドンのライバル、スパーズを迎えました。チェルシーにとっては逆転優勝のために絶対に落とせない試合、一方のスパーズはリーグ4位以内に与えられる来期のヨーロッパチャンピオンズリーグの出場資格を確保すめために落とせない試合ということで、双方にモチベーションの高い試合でした。
 

スタンフォードブリッジの周辺には警備のために騎馬警官が出動。日本では騎馬警官自体、ほとんど馴染みがないものですが、イングランド、ドイツではしばしば見かけます。お陰で周辺道路には馬の・・・が結構、落ちています(笑)。考えてみれば、不審者が暴れだしたりした時、馬に乗った警官に威圧されたら大抵の人間はおとなしくせざるを得ませんよね。
 さて、そのスタンフォードブリッジで割り当てられた放送席は、結構、後列の方でした。日本のスタジアムで考えると、これほど後方になると遠くて見にくいのでしょうが、スタンドの傾斜が急なために、上に昇っても前後の距離はさほど広がりません。ですので、後ろからでもピッチのプレーは結構、よく見えます。日本では多分、消防法などで実現はしないでしょうが、観戦者には嬉しい構造ですね。ただし、最上段までの階段のぼりは結構、足にきますよ........。


 試合はチェルシーが圧倒する中、スパーズが意表をついたミドルシートで先制、騒然としたムードの中でチェルシーが反撃します。そして前半終了間際、ランパードの放ったミドルシュートはスパーズGKゴメスの正面へ。しかし、容易にキャッチされたかと思ったボールはゴメスの股間を通って(つまりトンネル)ゴールの中に向かってコロコロ,,,,。慌てて手を伸ばしボールを押さえるゴメス。入った? 入ってない? .......!!!!! 判定はゴールイン。しかし、実は完全には入っていなかったようです。
 チェルシーは後半にカルーが見事な波状攻撃から追加点を挙げましたが、これもVTRでよく見ると微妙に オフサイド。2-1と逆転勝利し翌日に試合を控えたマンチェスターUになんとか食い下がった状況となりましたが、なにやらすっきりしない内容。試合後の会見でチェルシーアンチェロッティ監督も、自ら誤審によるラッキーな勝利であったこと認めました。「サッカーでは判定に泣かされることも数多くあるし、その反対もある。だから結果は受け止めるしかないのだ」とは、上手な言い回し。

 翌日の新聞各紙はこの決定的場面をトップ紙面に挙げて、誤審であることを強調していました。納得できないのはスパーズファン。この敗戦で4位以内は難しくなり、来季のチャンピオンズリーグ出場はかなり危うくなりました。翌日乗ったタンシーの運転手さんはスパースのファン。乗るなり「昨日のゴールを見たか!!!1点目はラインを超えていなかったし、2点目はオフサイドだった」とまくしたてます。「この負けでチャンビオンズリーグ出場がなくなった。来期の収益で5000万ポンドの損失だ!!! 」

 そのタクシーで向かった先はアーセナルのエミレイツスタジアム。スパーズファンのアーセナル嫌いはよく知られています。道すがらアーセナルのグッズを売っているショップがあると「オレはあっちは見ないぞ」と運転手氏は顔を背けます。「見るだけで病気になるんだ」とはものすごいライバル意識。でも、そうやってオーバーにもり立ててライバル関係を楽しんでいるようにも見えます。いずれにせよ、フットボールが生活の一部になっているうらやましい環境です。