サッカー本タイトルと想像力

 先日、上梓した「賢いスポーツ少年を育てる」に続いて、サッカーの本を出します。タイトルは「日本のサッカーはなぜシュートが決まらないのか」に決まりました。
 私としては、もうすこしコンパクトなタイトルにしたかったのですが、出版社と販売店の「調査」によれば、この手のタイトルが「売れ筋」ということだそうで、やむなく了解しました。そういえば、「~に利く~の方法」とか「~が~できた~の理由」とか「なぜ~は~こんなにも~を~したのか」といった書名が溢れていますね。そんな「直接話法的」ネーミングに通じる潮流は、音楽の世界にもあると感じます。
 コブクロミスチルもメロディーはいいのだけれど、なにせ言葉が多い。次々に言葉が重ねられて、とても「説明的」な感じがします。言い方は悪いのだけれど、ああだこうだとクドクド言わなければ表現できないという感じ。その究極はラップ音楽でしょう。旋律に乗るかどうかはともかく、矢継ぎ早に言葉を繰り出して説明していく。我が娘に言わせると「そうじゃないんだよ」とのことですが...。
 我が世代のカリスマ・ユーミンがこんな事を言ってました。「バスルームに、ルージュの伝言...って表現だけで、いろいろイメージが浮かぶでしょ。例えば私はルージュは赤だとは言ってないし、書いたのは鏡の上とも言っていない。でも、聞いた人は鏡に鮮やかな赤で何かが書かれていることを想像する。そういう世界が大事なんじゃないかな。端から端まで全部、言ってしまったらだめなのよ」
 言い得て妙。本当にその通りですよねユーミン。ありったけの言葉を繋いでいけば、それは誰にでもわかる説明にはなるけれど、心の中の想像力は広げてくれません。「ひこうき雲」というタイトルとイントロのさわりだけで、もう澄んだ青空が心の中に広がるものね~(古くてすみません)。
 ともあれ、本は何とか10月中には出せると思いますので、その節はぜひご高評をお願いします。