自分さえよければいいの?

クラブの中学生の部のセレクションを実施しました。
毎回、頭を悩ませることがあります。定員以上の申込みをいただくので、どうしても「不合格」にせざるを得ない子がでてきます。せっかく我がクラブへの入部を希望してくれているのに、12歳の子どもに門前払いすることほど辛いことはありません。
ところが、中には学校受験の「滑り止め」よろしく、あまり入部する気はないものの「保険」として我がクラブの合格を勝ち取っておこうとする親子がいます。なのでセレクションの時には「合格した場合、当方に必ず入部すると決めていない人はその由、お申し出下さい」と何度も念を押しておきます。
それに対して正直に「他のクラブも受けていて、場合によってはそちらに行くかもしれません」と申告してくれる親子がいます。そのことで、彼が合格しても入部しなかった場合のことを考え、合否のボーダーラインギリギリの子に暫定的に不合格でも補欠として入部できる可能性があることを伝えておくことができます。
 今回、呆れた親子がいました。
「合格したら絶対に入ります」と申告しておきながら、合格通知を受け取り、所定の日が来ても手続きをせず、規定の経費を支払わないのです。担当者が確認のため連絡をとると「手続き遅れてすみません。必ず~までにします」と断言します。ところが次の約束の日が来ても手続きが進みません。再度、連絡すると「実は別のクラブに入ります」と平然と言うのです。
つまり、当クラフの合格を担保しておきながら、後で別のクラブを受験、入部手続きをせずにおき、のらりくらりと言葉巧みに引き延ばしておいて、次のクラブの合格がわかってから「やっばり止めます」という戦術をとったわけです。
「どこに入るかはこっちの勝手だ」という論理なのでしょうが、こちらが入部意志の有無を確認したいのは、断腸の思いで不合格にしてしまった子の救済のためなのです。「入部辞退があったので繰り上がりで合格ですよ」とお知らせしても「えっ、もう次のクラブを受けて合格してしまいました」というケースがあるのです「もっと早く知りたかったです」と残念がられるのが辛いのです。
ルールと約束を無視して天秤にかけるような親子など、どんなにサッカーが上手でも入部させたくありません。多少、技量に劣っていても「絶対に入部させてほしい」という親子と3年間を過ごしたいものです。
「決めました、入ります、手続きします、お金払います、うっかりしていただけです」と言っておきながら約束の日を随分すぎてから「やっばり別の所にいきます」としゃあしゃあと言える親。平気でウソをついて時間稼ぎをして、不合格になった親子の気持ちを弄ぶような生き様を見て、その子どもも「世の中とはそういうものだ」と学ぶのでしょうか。自分がよければ、誰にどんな迷惑を掛けても知らん顔、そんな大人に育つのでしょうね。そんな親子が結果として入部せずに本当によかったと思います。