日本vsデンマーク

 予想した通りの勝利でした。終盤に1点を追加するという予想も的中。ただしスコアは2-0でなくて3-1。こういう「外れ」は嬉しいですね。オランダ3勝で1位、日本2勝1敗で2位、デンマーク1勝2敗で3位、カメルーン3敗で4位という順位は予想通り。スコアに多少の違いはあっても、勝敗は全て的中しているので、この勢いでバラグァイ戦も「勝ち」と予想したいところですが、正直、難しい気がしています。パラグァイの守備の強さは尋常ではない。日本がパラグァイの攻撃を受け止めることができたとしても、攻めて点が取れるイメージがなかなか持てません。0-0で延長までもつれ込んで---あとはサッカーの神に委ねましょう。

 ともあれ、デンマークの序盤の攻勢をしのいだ応用力は見事でした。日本が立ち上がりフォーメーションを少し変えたことと、ロンメダールの位置などデンマークのポジションも少し変化があったことで、最初は守備がうまく機能せず、トマソンの動きに混乱させられた時間帯がありました。しかし、岡田監督の指示もあり、フォーメーションをもとの形に戻すなど的確な修正ができました。終盤、相手がアタッカーを前線に増やしてパワープレーをしかけてきた場面でも、岡田監督の声が届かない中、阿部や長谷部の位置取りなどをうまく修正し、ロングボールを力強くはね返していました。このあたり、自主自立を育てたジーコの指導がようやく花開いた気がします。

 シュートへの決断力の弱さ。日本サッカーが長年、悩み続けてきた課題で、それはデンマークに快勝した今でも克服されていません。しかし、シュートができなくてもとりあえず勝ち進む方法が見つかりました。そう、セットプレーで勝つという方法(笑)。セットプレーなら相手DFと競り合わなくてもいいし、ゆっくり時間をかけて狙うこともできる。相手に邪魔されずに技術を駆使できるという意味で、しばらくは日本サッカーの武器はセットプレーになりそうです(笑)。しかし、今日から日本全国津々浦々、本田のキック、遠藤のキックばかりマネする少年たちが増えるのでしょうね。それはそれでいいのですが、流れの中で思い切りよくシュートを決断する選手がさらに減ってしまうことになりそうで不安です----。

 勝ったのにいつも欠点を探して無理矢理ケチをつける???????さんのようで気が引けるのですが(笑)---相手のマークが緩んだ時に、もっとDFのウラのスペースに走り込む姿勢を見せてほしかったですね。きちんとカウンターから3点目を取ってくれたのに贅沢な要求かもしれませんが---。終盤、相手の足が止まっている時に一気に畳み込もうとせず、こちらもお付き合いして休むように横や後ろに「とりあえず預ける」という感じのパスが多くあって、逆にプレスを受けて追い込まれるような場面が気になりました。このあたり、今度の相手パラグァイは鋭いです。少しでも相手に緩みが見えたときには一気呵成に走り込んでいく。ある意味、現段階での日本代表のサッカーを、より研ぎ澄ませたような試合運びをしてきます。

 さて、自分の力量を見極め、相手の戦力を分析し、できること、てきないこと、を踏まえて効力のある戦い方を設定し、それを選手に浸透させた岡田監督の指導力は見事でした。選手たちの動きからは、試合ごとに相手の特性を研究した上で、事前に十分に想定練習をしていることが伺えました。単純な戦力比較なら、グルーブリーグで敗退した国々で明らかに日本より上のチームはいくつもあります。フランス、イタリア、セルビア、ナイジェリア、スロベニア---。もちろん、組み合わせということもありますが、日本がベスト16に残れたのは、単純な肉体の力勝負だけではない部分で創意工夫を凝らしたした結果でしょう。それは日本人の強みでもあると思います。