W杯-3

 スペイン、やってしまいましたね。ボールポゼッション80%対20%とという圧倒的な技術の差。しかし試合は0-1の負け。どんな時でも、きちんとパスをつないでペナルティエリアの周辺まで行ってからでないと勝負のプレーをしかけないスペイン。だからスイスは常にしっかり戻って、人数を揃えて、がっちり待ちかまえて守ることができました。スペインのクロスの入れ方にも工夫がなかったですね。同じタイミングで同じ場所に蹴っては、同じようにはね返される。これではW杯で勝利することは難しい。日本の松井選手がクロスの蹴り方を変えて本田選手の得点につなげたことが思い出されます。

 皆さんもスペインの攻め見ていて、何度も「なぜそこでシュートしないのだ、なぜそこでもう一つプレーするのだ!!」と感じたことでしょう。わずかなスキをついてシュートするというよりも、完全に相手を翻弄して、逆を取ってから鮮やかに綺麗に決めようとしているように思えました。このあたり、フェルナンド・トーレスが完調であれば、多少のムリがあっても、もう一つ二つ前のタイミングで強引にシュートにいったのでしょう。しかし、途中出場のトーレスの動きは負傷あがりのためか精彩がなく、スペインのフィニッシュに迫力、ダイナミックさを加えることができませんでした。トーレスも、あのように手詰まりになってからではなく、プレミアリーグでやっている時のようにもう少し早いタイミングでボールがほしかったのではないでしょうか。

 ブラジルは苦戦しましたね。北朝鮮のディフェスは2人のセッターバックの周辺にもう二人の守備的選手を置く方法で、まさに昔イタリアで流行っていた「カテナチオ」です。文字通りゴール前に鍵をかけました。反則をあまりせずに献身的に守った選手はよく頑張りましたし、国歌を泣きながら聞いていた熱いハートのチョン・テセ選手も強引によくシュートを打っていました。こちらはスペインと逆で、とにかくシュートを打てるときに打っておかねば、という感じ。遠くても体勢が悪くても、わずかな可能性に賭けてギャンブルしたというシュートでした。でも、テセ選手のヘッドが得点に絡んでよかったですね。

 引いて守りを固めた相手をどう崩すか、ということはサッカー強国の課題です。ここまで一通り強豪国の闘いをみた結果では、引いた相手の守備を強引にこじあける力という意味では、オランダが一番と思えます。次にアルゼンチン。ただし、アルゼンチンは守備が不安。総合力ではドイツが抜群です。私の個人的希望では日本の他ではイングランドに頑張ってほしい。