心理という難題

 2月20日プレミアリーグ、素晴らしい守備とタイミングの良い球離れでマンチェスターUを3-1と攻略し、18歳のロドウェル、20歳のゴスリングが得点するという嬉しい成果も手にしたエパートン。その好調そのままにヨーロッパリーグも快勝と思いきや、25日には一転、スポルティング・リスボンに0-3と完敗し、アグリゲイト2-4で欧州の舞台から姿を消しました。
 プレミアの一つ下のリーグで降格の危機に直面しているクリスタルパレスFAカップで対戦し、引き分け再戦に持ち込まれたアストンビラ。24日の再戦では第一戦の二の舞を踏まぬよう非常に引き締まった守備を徹底し、ジャイアントキリングを目論むクリスタルパレスにつけいるスキを与えずに3-1と快勝しました。
 同じ24日、チャンピオンズリーグで難敵・インテルの本拠ミラノに乗り込み、非常にタフな試合の末に1-2とまずまずの成果を持って帰国したチェルシー。その緊迫した試合に注いだエネルギーがあまりに大きすぎたのか、27日には国内プレミアリーグマンチェスターCに2-4と足元をすくわれてしまいました。
 マンチェスターUエバートンアストンビラクリスタルパレスチェルシーマンチェスターC。いずれも、互いに十分なコンディション調整を行ったうえでワンマッチを行うなら、多分、前三者が勝利する可能性が高いカードでしょう。しかし、現実の勝負にはスケジュール、疲労、負傷、出場停止など、さまざまな条件が加わります。それらの絡み合いに、監督、選手の心理が微妙に影響を受けます。前三者のそれぞれの苦戦、敗戦が、その試合にまつわる心理的要因に負うところが大きいことが想像されます。
 さて、話題変わってフィギュアの浅田真央選手。彼女にも心理という難題が立ちはだかりました。しかも、最大の緊張を要するトリブルアクセルを全て成功させながら、考えてもみなかった箇所でのミス。「何でそこで---」と悔やんでも悔やみきれない気持ちが、あの直後のインタビューでの抑えようのない涙になったのだと思います。それにしても、自己最高をマークし、女子では前人未踏の快挙を達成し、日本中の誰もが「立派な銀メダルだ」と言っている中、小さなミスを犯してしまった自分を許容できずに表彰式で終始、沈んだ表情でいた浅田真央選手のアスリート魂には脱帽するばかりです。
 話題はサッカーに戻って、チェスカ・モスクワで活躍する本田圭佑選手。チャンビオンズリーグで積極的にシュートを放ったことに対して、国内メディアはこぞって称賛しています。しかし、現実にはシュートはことごとく枠を外れ、彼は結局、得点を取れませんでした。チャンピオンズリーグで闘う選手に「よくシュートを打ったね」と褒めているようでは---と思ってましたが、本田選手自身の「外してばかりで納得していない」という言葉と厳しい表情を見聞きして安心しました。物事は考え方、感じ方、つまり心理の違いでずいぶんと、とらえ方が変わるものです。