港北FCと日本代表と韓国代表

 私が率いる神奈川県リーグ2部のチーム「港北FC」は14日、社会人選手権決勝トーナメントで0-1と敗退してしまいました。相手は格上1部リーグのチーム。中盤で組織的なゾーンディフェンスを行い、相手が「仕掛け」のパスを入れてきたところを絡め取ってカウンター、という戦術で挑みました。
 実はこの戦法、最近の日本代表の試合からヒントを得ました。ボール扱いが丁寧でパス回しを重視し、ポゼッションで上回りながら、攻撃の仕掛けになると一向に突破できず逆にカウンターに悩まされる、という試合を続ける日本代表。レベルは違えども、当方の対戦相手も自分たちより格上で、しかも丁寧なボール扱いときちんとしたビルドアップを行うチームだったので、それを「仮想日本代表」にして闘ってみたのです。
 試合では、目論見通りに相手を焦らせ、狙い通りにボールを奪って効果的なカウンターをしかけることができました。ただし、日本代表を悩ませた対戦国と我がチームが違っていたのは、カウンターから得た決定機をものに出来なかったこと。「あそこで決めておけば」というチャンスを何度も逃し、逆に前半終了間際の失点に泣きました。日本代表を反面教師にして功を奏したと思われた戦法でしたが、皮肉なことに日本代表と同じ「決定力不足」で試合を落としてしまいました。
 さてその試合の後、今度は東アジア選手権日本vs韓国の取材のために国立競技場へ。勝利して優勝を勝ち取るはずだった日本代表でしたが1-3の完敗。チームはサポーターからブーイングを浴びました。この試合、強く感じたのはFWの違いです。前回も書きましたが、日本はFWを中心に全員がサイド、サイドという意識が強いので、ゴールに直線的に向かう怖さがありません。一方、韓国にはそれがありました。38分に2-1とされたイ・スンヨル選手のプレーなどは、それを象徴していました。ボールを受ける姿勢、トラップの方向など、全てがゴールを奪うことを最優先に考えられていました。その意識を終始忘れていないからこそ、わずかなスキに見事なターンをして鮮やかなミドルシュートを決めたのでしょう。
 思えばその試合で交代出場したイ・グノも非常に得点感覚に優れた選手です。同点のPKを決めたイ・ドングもしかり。プレミアリーグマンチェスターUで活躍するパク・チソンもゴールへの意欲は非常に高い。過去を遡れば、ファン・ソンホンチェ・ヨンスチェ・スンホチャ・ボングンなど、韓国は優れたゴールゲッターを欠かした時代がありません。たった一つの海を隔てただけの間で、体格もさほど違わない国なのに、韓国ではどうしてこうも素晴らしい得点感覚を持つ選手が育つのでしょう。
 国立競技場で沈んだ表情の岡田監督の記者会見を聞いた後、23:30入りでプレミアリーグの解説へ。今週はFAカップ5回戦の解説担当でした。下部リーグ所属のクリスタルパレスが上位のプレミアリーグ所属アストンビラに対して勇猛果敢に挑み、試合は2-2-の引き分けで再試合となりました。全身全霊で伝統の格上チームにぶつかったクリスタルパレスの敢闘精神には脱帽です。港北FCも、日本代表も、クリスタルパレスが見せたようなファイティングスビリットが必要かもしせません。AM4:30帰宅。いろいろ考えた一日でした。