W杯-7

 すごい試合でした。

 まず、好守入れ替わりの場面、いわゆる「トランジッション」の状況における両チームの迫力がすごい。ブラジル、クロアチアどちらも、これでもか!!!とばかりに激しいプレスをかけ続けてボール奪取をするシーンがあるかと思うと、その激烈なプレスを見事なテクニックとパスワークで交わす場面がある。

 ドランジッション以外の場面でも、何事もないように、いとも簡単に、プレーしているようなコントロール、キックが、よく見ると恐ろしく正確でハイレベル。「あれは日本代表ではできないな..」と思うことばかり。試合全体を冷静に見ていると、やはり日本代表が到達しているレベルではないな、とため息が出ました。

 モドリッチ。ただただ、すごい!!!。すごすぎる。神出鬼没とはまさにあのこと。しかも、ただ「お節介」でボール触るだけでなく。全てのプレーに「意味」と「効果」がある。延長後半で同点に追いついたプレーも、モドリッチが激しいプレスを受けながらターンし、フィードしたプレーから生まれています。

 普通、あのレベルの「レジェンド」になると、自分の好きなことだけして地味なことは周囲の選手に「尻ぬぐい」してもらうもの。メッシ、ロナウドネイマールみたいに。しかしモドリッチは、全然そんなことありません。むしろ仲間の分までやってしまう。この人抜きでクロアチア代表は成立しないでしょう。

 そしてネイマールの得点。こちらもすごい!!!。頑なにショートパスの連携で崩そうとするブラジルですが、そのブラジルの美学を集約したような得点。ゆったりと下がってボールを受けてから、一気にギアをあげて二つのワンツーをつなぎ、最後にGKをかわして、飛び込む相手DFとゴールポストのわずかな間に狙い澄ましてボールを蹴り込みました。

 ハードに分厚く守るクロアチア守備陣のど真ん中を割ってもぎ取った得点は、ただ見事と言うしかありません。リシャルリソンのジャンプボレー、韓国戦の得点も含めて、今大会のブラジルの得点は、テクニックとパスワークで崩す得点の美しさ、楽しさを堪能させてくれました。

 リードされたクロアチアの監督が行った交代策が大胆でした。見ていて決して悪くないと思われる選手を敢えて下げて、次々に攻撃的な選手を投入しました。その交代選手が同点弾を叩き込むのですから采配的中です。期待に応える選手もすごい。左からのクロスのに対して一本調子に走り込むのではなく、すっと止まってボールを待ち受ける判断が素晴らしい。

 PK戦。2本続けてど真ん中はすごいですね。多分ブラジルは日本戦のPK戦からクロアチアキッカーの誰がどちらに蹴るかを熟知していたはず。その裏をかいた形。隅を狙ったキックもボスト際にズバリ。ゴールはブラジルの大応援団が陣取る側だったというのに、何という度胸。

 この試合見ると、日本のベスト8、やはり遠いです。