気になったことあれこれ(スポーツ大賞に代えて)

 独断と偏見の「今年のスポーツ大賞」は、独断でも偏見でも大谷翔平選手以外を選びようがありません。野球門外漢の私でもケタ違いの凄さがわかる。国民栄誉賞の辞退もよかったですね。あれくらいになると、政治家の宣伝道具にはならないということが毅然と示せます。大谷選手にはもう殿堂入りしてもらいましょう(笑)。

 さて、その代わりに今年気になったことを書いておきましょう。何と言ってもコロナ禍で強行されたオリンピック。招致の時に並べ立てた理由も予算額も全部ウソだらけだったということが明確になりました。それでもそしらぬ顔でやってしまう。「復興五輪」だったことなど、ほとんどの人が忘れてしまっている。汚染水どうしようか...とまだ言っているのに。「オリンピックやってんだから...」という言い訳で移動する人が増えて感染も増えた。そして、お決まりの「成功だった」という幕引き。

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 選手もいろいろでしたね。悩みながら出場した人もいました。コロナ禍の活動環境悪化、精神的葛藤などでベストコンディションを保てず、実力を発揮できない人がいました。一方で、「見事な勝ち」を期待され、相手にも研究され尽くされた中でも一本勝ちを続けて金メダルを獲得し、何事もなかったように泰然自若とした立ち居振る舞いをしていた大野将平選手のような人もいました。

 訃報もありました。私たち古いサッカーファンにとって、ゲルト・ミュラーさんの逝去はショックでした。ドイツの国内リークでも代表チームでもミュラーさんのいるところゴールありでした。1970年メキシコ大会、1974年西ドイツ(当時)大会の二大会で通算13ゴールはしばらくの間、破られませんでした。

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 70年大会準々決勝、イングランドに0-2とリードされた後、大逆転劇を締めくくるジャンプポレーはとても印象的でした。続く準決勝、激戦として語り継がれるイタリアとの3-4の試合で、常にリードを許していたドイツに追撃の2点をもたらしたのがミュラーさんでした。74年大会、破竹の勢いで決勝まで勝ち上がったヨハン・クライフ率いるオランダに開始早々のPKで1点を許しながら、2-1の逆転優勝を引き寄せた決勝点もミュラーさんが挙げました。

 ボクシングのマービン・ハグラーさんも60代という早さで逝去しました。主にミドル級を主戦場としましたが、当時の中量級はロベルト・デュランシュガー・レイ・レナードトーマス・ハーンズら好選手が群雄割拠。それぞれがそれぞれと好試合を繰り広げていましたが、ハグラーさんは一歩抜け出でいました。

 単に強いだけでなく、クリーンでアグレッシブな戦い方。コンディショニングもストイックで、私生活の乱れもなく、スポーツとしてのボクシングの素晴らしさを体現していた人だと思います。

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 サッカーのW杯予選のアウェイゲームの放映が有料チャンネルに独占されてしまい、コアなファンしか視聴できないことになりました。仮にアウェイでW杯出場決定、となった場合は、一般のファンはリアルタイムで喜びを分かち合うことができません。コロに禍で稼ぎ頭の代表親善試合が行われず収入が激減した日本サッカー協会は、自社ビル売却の話も持ち上がっているとか。これで代表チームがW杯逃したら、どうなってしまうのでしょう...。

 おめでたい話は、長嶋茂雄さんへの勲章授与。ただそこにいるだけで話題になる、という人物。功績を称えることに異論はまったくありませんが、ただ「いつまで長嶋さん、王さんなの?」という気持ちもあります。何かあるたびに、すでにご高齢となったお二人を担ぎ出す。レジェンドは存分にリスペクトすべきですが、あまり都合がいいように偉大なお二人を使ってほしくないという思いもあります。

 さて、来年に向けての期待という意味では、何と言っても新庄ビッグボスの就任です。従来の監督像をひっくりかえすような行動と言動。「優勝なんて目指してませんから!」と断言。とはいえ、「開幕から優勝なんて言ってたら一年間やっていけないんだよ」というのが選手の本音らしいのですが...。

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 いずれにせよ、ビッグボスが話題を盛り上げるだけで終わるはずはないので、実際のチームづくりと采配が楽しみです。まぁ親会社としてはビッグボス効果でメディア露出が格段に増えたわけですから、広告宣伝としては何億円分にも相当する効果があるはずです。

 サッカーのキングカズの去就も気になります。偉大なレジェンドであることは間違いないのですが、今現在の彼を「戦力」としてほしいプロチームは一つもないでしょう。ただし、広告宣伝効果は抜群。彼が存在するだけでチームのメディア露出効果が格段にアップします。契約料を「広告費」として換算すれば、コスパは理にかなうかもしれない。ただ、やはりプロ選手は出場してナンボですからね...。

 さて、強引に開催したオリンピックの「レガシー」は、来年以降、我々アマチュアスポーツのところに恩恵をもたらすのでしょうか? 人工芝のグウンドの抽選倍率が100倍超という現象はいつになったら解消するのでしょうか? 行き場を失ったサッカーチームが練習しようとする場所に「禁止」「禁止」の看板が次々に立てられていく現象はいつになったら解消するのでしょうか?

 来年は、スポーツ愛好者にとって明るい話題が多い年になるといいですね。