日本向けの特別な方法などない

 アギーレ新監督を迎えるにあたり、一体これからどんなスタイルが築かれるのか、とかまびすしい日本サッカー界。メディアでは盛んに「日本的」という言葉が取り沙汰されています。
 ポゼッションだ、ショートカウンターだ、プレスだリトリートだ、などと「きっとどこかに自分たちにビッタリくるプレースタイルがあるはず」と、たわごとを繰り返している。高身長、高学歴、高収入のイケメンが白馬に乗って迎えに来て自分を一生脇目もふらずに愛してくれるはず....と少女漫画みたいなこと言ってるタワケ女子みたいですよ、まったく。
 優勝したドイツがどこかのマネしてますか? 何か特別に特徴あるプレーをしていますか?アルゼンチンだって、メッシの存在は異質かもしれないけれど、守りも攻めも「これ」といった特別な形があったですか?要は古来変わらない基本的なこと正確に、速く、強く...追求しているということ。議論して悩むほどのことではありません。
 でもニッボンはフィジカルで劣るから...という声が聞こえます。そうでしょうか? ドイツのラーム、ゲッツェ、アルゼンチンのメッシ、アグエロマスチェラーノ、みんな小柄ですよ。オランダのカイトやスナイデルだって大柄ではない。チリのサンチェス、スイスのシャキリ、メキシコのエルナンデス...小さくても大活躍している選手はたくさんいます。
 いわゆる「体の強さ」が足りないなら、鍛えればいいだけの話。中田英や本田が海外で対抗できたのは、そこをしっかり努力したからです。それを最初から放棄して、ヘナヘナの体でゴール前でチップキックみたいなシュートしていたら、そりゃ鍛えに鍛えまくった相手には簡単につぶされるでしょうよ。柿谷君、スイスの初出場試合でダイビングしてPK求めていましたが、まったくわかっていませんね、今の自分に何か必優なのかを。
 ともあれ、体が弱いならまず筋力トレーニングに励むこと。その上で、激しい競り合いの中でも疲労していても精度のお落ちない「ホンモノの技術」を身につけること。コンディショニングがああだこうだと文句を言う前に、自分で体調管理のさじ加減ができること。多少、ゲーム展開が思い通りにいかなくても現状打破する心理的強さを身につけること。そして何よりも最も大切なことは、ペナルティエリア内あるいはその近辺でのシュートは確実に枠をとらえねばならない、ということを「当然」とする意識を育てること。それが徹底できればグループリーグは突破できるでしょう。
 カウンターもリトリートも、両方大事なのです。丁寧なポゼッションもシンプルに蹴り出すことも両方大事。何かに特化して「それ専門」でいくのではなく、サッカーに関する全てに対してより正確に、速く、強く、を求めていくしかないのです。「これさえを身につければ大丈夫」というスペシウム光線(古い?)みたいな魔法の戦術などないのです。
 いつまでたっても「日本だけに利く特効薬」みたいなものを追い求めているから、利かない利かないおかしいぞ....と失望する。そろそろそういう子供じみた夢物語の探索はやめにした方がいいでしょう。