誰が監督をやっても根本的な問題は同じ

 ベスト8出そろいました。正直にいって、日本が太刀打ちできるレベルではないですね。日本が「強み」だとしている「組織的で団結力がある」なんて当たり前。今さら言うまでもないという感じ。上手くて、強くて、走れる選手が死にものぐるいで頑張っている。だから見ていてぐっと引き込まれるし、勝っても負けてもプレーしている姿に胸を打たれます。
 ベスト16に進出したチームにあって日本にないもの。それは言うまでもなくシュート力。それとシュート場面に限らず、1対1の局面で対峙する相手に自分で競り勝ってみせるという意志と決断力の差も大きいですね。日本の場合、少しでも危ない、無理かもしれないと思ったら、良くて味方のサポートを待つか、大抵は取られないように逃げるプレーをします。一人では絶対にダメで、とにかく「みんなで」やらないと何にもはじまらない、という感じ。
 べスト16のチームもそうですが、特にベスト8に進出したチームには漏れなく、守備でも攻撃でも「一人で勝負できる」選手がいます。そして、その個人で解決できるプレーが絡んで組織が機能したときに、次に勝ち抜くための決定打になるプレーが生まれています。これがあるとないの差はとても大きいのではないでしょうか。
 はやくも日本代表監督の後任人事が注目されています。今度こそ...と監督に期待をかける気持ちはわかりますが、誰がやっても同じです。だって、代表監督がどんなチームづくりをして、どんな斬新な戦術を仕込むにしても、個々の局面で競り合い、シュートを打つのは日本で育った選手ですから。代表監督は選手の少年時代にまで遡って育った環境を変えることはできません(笑)。
 トルシエが独裁しようが、ジーコが自由を与えようが、ザックが攻撃的サッカーを宣言しようが、シュートの決断がなかなかできず、打っても入らないのは98年の初出場以来、変わっていません。今までは「バスはつながるのに..」という慰めがありましたが、今回はそのバスさえつながらなかったのですから、世界と比べれば相対的には退化してしまったのかもしれません。悲しいことです。