vsフランス

 フランス戦1-0の勝利、少し驚きましたね。いくつか感想を書いておきましょう。

1.開始直後のプレスをよくしのいだ。
 フランスが試合開始と共に激しくプレスをかけてきました。さすが、現役時代泥臭いハードワークでならしたデシャン監督のチームだな、という感じ。しかし日本の選手たち、そこで浮き足立つことなく、お得意の狭いエリアでの細かいパスワークでハードな当たりを巧みにかわしていました。しかも、ただかわすだけでなく、それを逆サイドの展開につなげることもしばしば。うーむ、ボール回しもここまで有効に機能するならいいじゃない、という感想。

2.単調なフランスの攻撃
 前半は展開的にはフランスが圧倒し、日本はほとんどシュートが打てない状態。CKも数え切れないほどたくさん。しかし、フランスは身体能力、体格にまかせてねじ伏せようとするだけで、あまりクリエイティブな攻撃が見られませんでした。このあたりは、悪い意味でのデシャンらしさか。だから、とにかくゴール前の危ないエリアで体を張っていれば何とかしのげる状態。川島も好セーブでしたが、それもDF陣のがんばりあってのもの。

3.前田と長谷部、遠藤のバックアップ
 ワントップのハーフナーがもうすこし、いわゆる「クサビ」のプレーでボールを受けられば、中村を経由して香川、乾のスピード、テクニックが生きたのに、と思いました。ワントップ前田とボランチ長谷部、遠藤は、なかなか同等の控え選手がいなくて層の薄いポジション。長谷部と交代して入って細貝には少し期待が持てましたが....。

4.我慢のサッカー
 終始、日本が押さされる展開でしたが、よく無失点に抑えました。フランスは「いつか取れるはず」と力任せの単調な攻撃を繰り返しましたが、それを90分絶え間なく続けることは無理。どこかで息切れし、勢いが止まる時間がきます。日本はそこを巧みに突いていった。フランスのプレスが弱まってからは、一転、日本の攻勢もはじまりました。このように90分間の中でゲームの流れを察知し、TPOに応じたプレーをすることも大事な戦力。日本は我慢すべきところでよく耐えて乱れず、好機がくるまで冷静に待てたと思います。逆に、フランスは自分たちの攻勢の中にあるわずかな「隙」を埋めることができなかった。

5.もの凄い体幹!!!!
 フランスの攻勢に耐える中で垣間見えた日本人選手のフィジカルの強さに関心。特に、二回りくらい大きな相手とガチで当たり合ってもブレない今野、長友の体幹の強さには驚きました。正しいトレーニングの成果であることは明らか。これは育成年代まで浸透させたいこと。

6.カウンターを活かせる力の維持
 フランスが得点を焦って前かがりになるところで、ものの見事にカウンターが決まりました。中央を独走してチャンスをお膳立てしたのがCBの今野。香川がタイミンよく中に走り込んで空けた右スペースに走り込んだのはDF長友、その内側にやはりDFの内田。劣勢の中、消耗が多かったDF陣がここまで多く絡んでの得点は素晴らしい。「機を見る」力と、それに応える体力(走力)が試合終了間際でも維持できていたということ。

7.デシャンの采配
 フランスは試合の流れにほとんど関係なく交代選手を使ってきました。もちろん、勝敗はどうでもいい、などとは思っていなかったはずですが、デシャン監督が若手、控えの経験を重視していたことも明らか。ですから、フランスが「ガチで勝ちに来た」試合ではないといっていいでしょう。そのあたりを冷静に見ておくことも必要。

8.ご苦労様Sさん
 「やべっちFC」でこの試合を30点と超辛口採点したSさん「もっと攻めなきゃだめ」だからだそうです。今の戦力ならフランスを攻め倒して勝てるはず、というなら、そのご高説の根拠をもう少し詳しく発表しなければ。また、攻勢をとる中で奪う得点が高級で、劣勢からカウンターですばやく奪う得点が低級という見方も、ファンに偏った視点を提供しますから慎んだ方がいいですね。それにしてもご苦労様。大変ですね。ギャラのために自分の辛口キャラを維持するのも。最近、なんだか無理矢理の感じが見え見えで、かえってかわいそうですね。ゆうこりんもスパッと「こりん星」から脱却しましたから、無理にキャラにしがみつくことはないんじゃないですか(笑)。