勝ちに行くと負ける

 欧州チャンピオンズリーグチェルシーが優勝しました。

 守備の中心選手テリーとイバノビツチを欠き、苦しい布陣。しかも会場は対戦相手バイエルン・ミュンヘンのホームスタジアム。ネガティブ要素に囲まれた試合でした。
 試合展開も、くじけそうな事ばかり。先制点を献上。試合終了間際になんとか追いついたものの、延長戦ではPKを献上、でも外してもらい何とかPK戦へ。
 PK戦でも一人目が失敗。もう不幸の雨あられ。カミサマイジワル。
しか~し。決めれたら終わりという場面で相手が失敗。逆に決めれば勝ちという場面で、起死回生の同点ゴールを決めたドログバがPK成功。
 まるで力道山の試合(ふるーい)か、安っぽいドラマのよう。はらはらどきどき。もうダメという場面を何度も何度も繰り返した果てに、最後は大逆転で勝利。
 思えば準決勝も似ていました。
 バルサに敵地で2-0とリードされ、しかもセンターバック・テリーが退場。リードされながら10人で戦わねばならず、万事休すと思われました。しかし前半終了間際にラミレスが一瞬のスキをついて追撃弾。ところが後半開始早々PKを与えてしまいキッカーはメッシ。今度こそ終わりと思ったら、メッシが失敗して首の皮がつながりました。
 アウェイゴール許してしまったため、前がかりになって10人のチェルシーを攻めるバルサ。しかし、これまた一瞬のスキをついてトーレスが2点目をもぎ取り、バルサを退けたのでした。
 誰もが「負け」と予想した試合を2つ続けて制して王座に座ったチェルシー
 今度、上梓する拙著は「カウンターアタック」をテーマにしています。取材した武道の達人、ボクサーらが口を揃えていたこと。「いける、と思ったときが一番、危ない」「攻めばかり考えていると必ずスキがでる」
 取材で思い知らされたこと。攻めて圧倒して勝ちをもぎ取る、ということは実はかなり難しい。勝負は相当な高確率で、守備を固め、カウンターに徹した方が勝つ。