マンU前進、アーセナル脱落

 8日、アーセナルはストークシティに1-2で敗れ、僅かに残っていた逆転優勝の可能性がほぼ消滅しました。ストークはリーグでは10位と中位の成績ですが、来週のFAカップ決勝に駒を進めていることでメンタル面の充実が十分のチーム。諦めムード蔓延のアーセナルとの気力の充実度の違いは歴然でした。
 「巧さ」でいえば、圧倒的にアーセナルのレベルが上。ストークアーセナルのチームスタイルとは正反対で、大柄の体格を活かし、パワープレーで押し込むタイプ。しかし、自分たちのストロングポイントとウイークポイントをよく理解していて、いかにして長所を生かすか、についての理解と努力が十分に行き渡っていました。アーセナルの華麗なパスワークを封じるためのストークの献身的な組織ディフェンスは見事でした。それは決して激しさ、厳しさに頼った力づくのものではなく、十分な戦術理解に裏付けされたものでした。

私が今季一押しとしてきたアーセナルの新鋭、19歳のMFジャック・ウイルシャーですが(写真はエミレイツスタジアムのウイルシャーのロッカーです)、この日の働きは今ひとつ。それどころか、クロスプレー後のいざこざばかりが目について、「やはりまだ若いな」という印象でした。まぁ..19歳で世界のトップリーグで闘い優勝争いをするチームのレギュラーというだけで十分スーパーなのですが、欲を言えば、経験を積んでより冷静に俯瞰する目を養ってほしいものです。
 さて、アーセナルに対して「自分たちのフットボール」を貫徹し、完勝したストーク。次週はいよいよFAカップの決勝です。かたやアラブの富豪の肩入れで大型補強をしたマンチェスター・シティ。エースのテベスが欠場とはいえ、年俸総額ではストークの何倍になるのだろうというチーム。しかし、4番バッターばかりが集まった野球チームのようで今ひとつまとまりに欠く部分もあります。大男たちが献身的に守備戦術を徹底し、カウンターとセットプレーでは強烈な威力を発揮するストークがどこまで食い下がるのか、見物です。

 さきほど連絡が入って、大変光栄なことにFAカップ決勝の解説を担当させていただくことになりました。舞台はイングランドフットボールの聖地ウエンブリースタジアム。日本のスタジオからの放送ですが、私も聖地での闘いの解説に持てる力を存分に発揮できるよう頑張ります。