ザッケローニ監督-2

 「攻撃的サッカーの構築を」と迫る声を制するように、ザッケローニ新監督は「攻守両面にバランスの取れたサッカーを目指す」と釘を刺しました。
 攻撃的、攻撃的、と日本では何かと攻撃的であることがすなわち素晴らしいこと、という論評が飛び交います。しかし、90分間、攻撃し続けることなど銀河系軍団レアルマドリーでも不可能。ボールを奪った瞬間から攻撃が始まるサッカーでは、どのように守るか、ということはすなわち、どのように攻めるか、ということの第一歩です。ザッケローニ監督は、そのことを確認したのでしょう。
 新監督は誠実、穏和な印象があります。しかし、就任期間中に他のチームからオファーが来た場合の契約条項に細かくこだわっている、という事実もあります。与えられた仕事には誠実に尽くすが、よりよい話が来たら当然、よい条件の方に行く。日本のレベルアップに協力はするが、公私を超えて一心同体となるほどの覚悟があるわけではありません。このあたり、あまりこちらから一方的に心理的な融和を求めない方がいいかもしれません。
 オシャレで女性の扱いも上手く、常に優しい言葉をかけてくれる。日本の男性よりずっとジェントルマンでエスコートの仕方も巧み。きっと私のこと気に入っているはずだわ、と思っていたら実は他の女性にも同じように接していたイタリア人のイケメン、なんてたとえ話は失礼ですかね(笑)。
 ともあれ、彼の経歴を見てお気づきのことと思いますが、途中就任、短期で契約解除、というケースが多いですね。チーム状況が乱れてシーズン途中で監督が辞任した時のビンチヒッターになり、とりあえずシーズンが終るまで何とかチームをまとめる、という仕事。それはそれで大変な作業ですが、気になるのは、その緊急避難の指導が評価されて、そのまま継続的に指揮を執ることが少ないこと。
 うがった見方をすれば、可もなく不可もなく無難にまとめることはうまいが、自分のカラーを打ち出して一つのプロジェクトを推進する、という部分では今ひとつインパクトに欠ける、という監督なのではないかという心配があります。
 まぁ、まだ何も仕事をしていないのですから、あれこれと予想するのも今のうちです。