アニメ的わかりやすさが伸ばした支持?

東京都知事選、田母神候補に60万票が集まったそうです。支持者の内訳をみると20代、30代が多いとのこと。
田母神氏は日本の侵略戦争はなかった、南京虐殺もウソ、という持論を持ち、近隣国に対しても強行な姿勢を打ち出す人です。選挙中も演説マイクの調子が悪くなった時「中国の妨害電波がはいりました」とジョークを飛ばしたそうです。
思想信条は自由。選挙で誰を支持することも自由。しかし、多くの若者が田母神氏の思想に同調したということには驚きます。誰かを悪者にして、「オレは悪者を退治する勇気あるヒーローだ」とする単純なアニメ的立ち位置がわかりやすかったのでしょうか。

支持者の多くが、ネット内で右翼的思想を展開する「ネトウヨ」と呼ばれる人々だったそうです。
ネットの書き込みは自分が誰かが特定されませんから、身を隠したまま好き勝手なことを言い放てます。罵詈雑言の類が言いたい放題です。自分は安全なところにしっかり身を隠して、相手を攻撃することだけは遠慮会釈なく行う。それがネットで発言する人々の特徴です。ネトウヨもその一つでしょう。
ネトウヨと言われる人たちが田母神氏を支持することはいいのですが、仮に田母神氏が何かの権力を手にし、持論の強行姿勢を強化し、いわゆる「有事」になった時、ネトウヨの人たちは「よし、ではオレが先頭に立って闘う」と自分の血肉を削って命の取り合いをする覚悟はあるのでしょうか?
「有事」になったら、パソコンの画面にせっせと悪口を書くだけでは相手は退散してくれません(笑)。バカだのアホだの死んじまえだの、いくら匿名でネットに書き込んでも実際の戦闘には勝てません。コソコソとキーボードを操作している手指がもがれ、画面を見つめている眼球がえぐられ、という凄惨な現場に自分が出向くというイメージができているのでしょうか。
自分はわからないように隠れていて...というネットの書き込みのようなわけにはいかないのです。
まぁネットという世界に身を隠している時点で、正々堂々と名乗って行動できないチキンであることが明らかなのですから、そんな人々に身を削る覚悟など、はなからあるわけれないでしょうね。田母神氏も、もう少し実戦に「使える」人の支持がほしかったでしょうね。
ところで、ともするとスポーツの世界も勝ち負け、成績でものごとをごく単純化して考えてしまう傾向があります。敵か味方か、やったかやられたか、などと。だから、やられてばっかりで黙っているな、いざとなったら黙っていないというところを見せてやれ、という単純明快な方向に進みがちです。多角的な視点を養わねばいけませんね。