クビ同然でも代わりのいない残酷さ

 港北FCトップチーム3連敗。後半38分まで1-0でリード、試合内容は狙い通り。しかし、しかし、しかし、この三連戦で三たびコーナーキックから失点。そして42分、またまたプレゼントボールをして逆転を許しました。ここまで同じ事を繰り返すようでは、もう救いようがありません。
 流れが一気に変わったのは私が交代選手を投入してから。もちろん、たった1点のリードですから交代には大きな不安がありました。上手く試合を進めているそのままのメンバーで1-0で押し切るのが無難。大乱調のチームを立て直すには何よりも手堅い勝利が大切。
 しかし、累積警告による出場停止や受験でチームを離脱する選手がいるために、次戦以降の事を考え、サブメンバーの経験も積ませねばなりません。毎日練習できるわけではなく、練習で紅白戦ができる陣容でもないので、公式戦がテストの場になります。サブに甘んじる選手の意気込みに賭けましたが、見事に裏切られました。残り10分を持ちこたえることが出来ませんでした。

 思えば昔。97年フランスW杯アジア最終予選。加茂監督は秋田、西澤の交代が裏目に出て、韓国に1-2と逆転負けしました。采配ミスと異常なほどのバッシングを受けました。しかし、前後の状況をよく分析してみると、秋田、西澤の投入はかなり理にかなった采配だったことがわかります(この点、詳しくは拙著「絶対サッカー主義宣言」に書いています。もう書店では売っていませんが、どこかで探して読んでみて下さい)。
 続くカザフスタン戦でも、1-0のリードで試合を終えようと85分に守備的MF本田を投入した後、ロスタイムに同点に追いつかれ、采配が裏目に出てしまいました。交代自体は間違った判断ではなかったと思いますが、結果が全ての勝負の世界では、それが再度の采配ミスと糾弾されました。この引き分けで加茂監督は解任され、岡田武史コーチが代わって指揮を執ることになりました。
 加茂監督はカザフスタン戦を終えて2分け1敗で解任されました。翻って港北FCは1-2、2-3,1-2と三連敗で、まるでビデオの巻き戻しを見るような同じ失点シーンの繰り返し。1勝3敗のチームの指揮官など、明らかに失格。クビです。でも、日本代表監督と違って現実には代わりがいない、辞めるに辞められないアマチュアの残酷さ。次からも私が指揮を執らねばなりません。
 移籍やレンタルで選手の補強ができるわけでもなし、強化合宿ができるわけでもなし。同じ環境の中で、ただ創意工夫のみで切り抜けていかねばなりません。「今年は、もうなし!!!」と、ここで全ての公式戦を辞めてしまいたい気分ですが、スケジュールは冷徹に進みます。

 結果の分析、言葉による解説、説得、練習内容の工夫、布陣と起用の変更。やるべきことはやったつもりでしたが、不十分だったと自戒するしかありません。今週は一つやり忘れていた「神頼み」を加えましょう。