韓国戦

 韓国戦は、互いに中盤でコンパクトな陣形をとり、激しくプレスを掛け合う展開になり、なかなかバスのつながせらない、つぶし合いの様相を呈していました。アルゼンチン戦で見られたスピーディーな攻撃を期待していて人には、どこか消化不良を感じさせる内容だったのではないでしょうか。
 ゴールキックの場面でゴールの裏側から見た映像が映し出されましたが、その時、ピッチ上の全選手がとても狭いエリアに密集して構えていたことが確認できました。あれほど密集した状態で激しくプレスを掛け合ったら、パスワークもリズミカルな展開もあったものではありません。
 それでも、そんなタイトな状況から、日本がチャンスをつかむ場面もありました。しかし、そうしたチャンスの場面で感じたのは、リズム、テンポの変化が乏しいことです。トラッブしてつぎにバス、というツータッチのリスムが2~3回続いたら、最後はワンタッチを絡めて勝負してほしいのに、最後もトラッブからパスというツータッチのリズムで行こうとします。これでは素速く帰陣する相手を崩せない。
 ワンタッチの突破を進めるためには、パスを出した本人が再び、次のプレーに関与できるように走り続けねばなりません。しかし日本の選手は、パスを出して誰かにつながると、それで満足して止まったり、スピートをゆるめてしまう。バスの「出し手」としての意識はあるものの、バスの「受け手」として自ら危険地帯に入り込む意識が薄い。このあたりが大きな課題でしょう。
 結局、イメージを共有したコンビネーションというよりも、本田個人の強引なプレーでシュートを放っていたという感じでしたね。それもそれで戦力なのですが、本田がいなければシュートに至らない、ということではだめでしょう。
 こうした緊迫した試合では、小さなほころびが大きなダメージにつながることがあります。GK西川の不安定なキック、サイドバック内田の弱気なバックスが、一気に相手の反撃につながるケースが何度かありました。それを何とか無難に回避したのはさすがに日本代表ですが、 試合はこうしたことから崩れるものなので、気をつけてほしいものです。これを読んでいる中学生、高校生など若い選手も本当に気をつけましょう。ほっと一息つく気持ち、少しの弱気、それをプレーで示してしまうと、そういう時ほど相手の闘争心に引っかかりやすいのです。
 さて、前回、中学生の不覚について書きましたが、同じ日、U-19日本代表もほぼ同じよう展開で韓国に屈していました。2点を先取した後の逆転負けでした。1点目はロングキックからの強引な競り合いに負けての失点、2点目はCKから。3点目はFKから。行ける、もう一点取れる、と感じた時、気持ちが攻撃に傾いている時のカウンター、セットプレーの恐ろしさです。