国籍?出身地?所属?...学生スポーツだってしょせんは傭兵部隊どうしの戦い

 ラグビー日本代表、驚きました。失礼ながらまさか勝つとは思っていませんでした。巨漢をそろえるFWの平均体重、ほとんどアイルランドと同じだったそうですね。そういう選手を揃えられるようになったのですね、日本も。

 ラグビー界にはラグビー界の慣習があり、代表選手と国籍に関しては他のスポーツとは違う基準があるそうです。そのため、今回のラグビー日本代表の半分は海外ルーツの選手とのこと。アイルランド撃破の快挙には、こうした海外ルーツの選手たちの存在がかなり大きかったようです。

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 ラグビー日本代表に海外ルーツの選手が多数を占めることに関して、違和感を表明する人も少なくないようです。確かに名前を聞いても姿格好を見ても、日本人なの..?という選手が多いことは事実。でも、ラグビー日本代表にそうした疑問を投げかけるのであれば、考えねばならないことは多くあります。

 サッカーだってラモス、ロペス、トゥーリオといった海外ルーツ選手の存在によって強化が進みました。反対に、マラソン猫ひろしさんとか、体操の塚原選手とか、日本を出て外国籍を取得し、外国の代表枠からオリンピックを目指した人もいます。

 卓球の中国人選手の中には、国内のレベルが高すぎて中国代表になることはむずかしいため、別の国籍を獲得して代表権を獲得する例があります。カタールなど中東の産油国では、大金を積んで自国の国籍を獲得させ、にわか代表選手をつくって強化するという手法が常態化しています。

 そもそも、現代社会は人の流動も激しく「生粋の~人」などという概念は崩れつつあります。母は~国籍、父は~国籍というような、大坂なおみ選手のようなケースは星の数ほどあって、もう、トップアスリートの間では「国」なんていう概念はとうの昔に形骸化しているわけです。要は、どういう国、組織に所属すればより良い条件で高い場所を目指せるか、という一点だけなのです。

 もう少し身近なところに視点を移しましょう。日本の学生スポーツなど、もう都道府県代表などという概念はとっくに形骸化しています。全国大会に出てくる代表校の選手が、幼少期から地元出身などというケースは希で、強豪校の大抵は日本中からかき集められた「傭兵学生、外人部隊」で構成されているわけです。

 スポーツ観戦で「我らの代表」という気持ちを抱くことは重要な役割を果たします。しかし、何でもかんでも「こっちか、あっちか」と無理矢理に色分けして、単純に「敵か味方か」と二分して、「自分側」と思う方に肩入れして応援するという心理は、こうした現実の前で、この先どこまで続くのでしょう?

 こっちでも、あっちでも、どうでもよく、単純に「このプレーすごいな~」とスポーツそのものを楽しむことが一番いいのでしょうね。