アジア枠ではなく実力で...

 久保がレアルヘ、阿部がバルサへ。一昔前の日本サッカー界では想像だにできなかったことが現実になっています。この若い二人の「可能性」がとても大きな事は認めた上で、視点を変えて考えねばならないことがあります。

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 今や欧州サッカービッグクラブの経営は、未開の商圏に触手を伸ばす巨大企業の覇権争いと似た様相を呈しています。TV視聴者、グッズ購入者のパイは、もう欧州では飽和状態です。放映権収入をさらに拡大させ、関連商品の売り上げを伸ばして市場拡大のオセロゲームを制したいビッグクラブにとって、ファン拡大の余地が大きく残されている人口の多いアジアは、とても魅力的な市場になっています。

 サッカー先進国ではないアジアの国からヤングヒーローを獲得すれば、その出身地では「我が国期待の星」の活躍が見たい有料TV契約者とレプリカシャツ購入者が飛躍的に伸びるはず...と目論まれています。

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 もちろん、実際に戦力になればそれに越したことはないし、仮にダメでも一定期間の「売り上げ」は確保できるというわけです。かつてD・ベッカムが巨額の移籍金でレアルに加入した際「そんなに巨額を投資して大丈夫か?」と聞かれたペレス会長は「23番のシャツの売り上げだけでモトはとれるさ」と言ったとか(笑)。

 もちろん、久保、阿部の両名とその関係者はその「メカニズム」を承知の上で挑戦するわけです。ただの「商圏拡大戦略」の手段として一定期間、使われて捨てられるのか、チームに定着してホンモノの戦力になれるのか?これまでの日本選手のビッククラブ移籍で、戦力として真の成功に至った例はほとんどないことが気かがりです。

 久保も阿部も「アジア商圏拡大」などという「ウラ事情」とは関係のないレベルで、実力を認められて真の「戦力」になってくれれば何よりです。