アップ中のボール使用禁止に関して

 またまた審判の話。
 日曜の夜19:00~の試合。どしゃぶりの豪雨と強風。試合前のウォーミングアップに許可されたのは、ピッチを囲む陸上トラックのさらに外側のスペース。まぁ貧弱な日本のスポーツ施設では毎週のようによくある話、コンリートみたいな固いサーフェスの上でアップシューズ着用で何とかアップします。
 困ったのは、その時、進行中の前の試合の主審の「強い意向」で、アップ中はボールを使うことは禁止とのこと。
 もちろん、アップ場所とピッチの距離が近く、アップ中のボールが試合中のピッチに転がり込んでしまう危険があるような状況なら「ボール禁止」の状況は誰でも納得します。しかし、アップを許された場所と試合中のピッチとの距離は、最も近いコーナーフラッグ付近でも優に20m以上離れています。写真はその現場なのでよく見て下さい。アップ場所は左下の部分です。ペナルティエリア縦ラインの長さが16.5mですから、それを基準に距離感を確認してください。
 そもそもウォーミングアップですから、ボールを使うといっても、感触を確認する程度で、思い切りロングキックやシュートをするわけではなく、ましてや固いサーフェスの上でアップシューズしか履けないのですから、ピッチに向かって20m以上を跳ぶようなキックはできません。その環境で20数m先からボールをビッチに入れてしまうようヘマをすることは、99.9%あり得ないわけです。
 でも、その0.1%が気になるのですね、主審は。自分の判定のためには万全の状況を整えるということなのでしょう。自分の判定を万一のボール転入で邪魔されたくない、という気持ちはわからないでもありません。
 しかし、その判断が下されることで、満足するのはその会場に居合わせた関係者の中で自分たった一人であるということを忘れずにいてほしいものです。
 日曜夜19:00~21:00、茅ヶ崎市郊外での試合。11人のスタメンの他、交代は5名まで。交代全員を使い切っても試合に出せない選手も数名いるわけです。プロなら試合に出られない選手は翌日にしっかり練習ができるので、無理して試合日に動かなくてもいい。しかし翌日朝から仕事や授業があるアマチュアにとって、試合に出られない場合、試合前のアップやハーフタイムの練習は貴重な活動時間になるわけです。
 風雨の中、電車とバスを乗り継いで茅ヶ崎までいって、1分も出られずに帰ることもある。帰宅時間は23時過ぎ、24時近くになる。翌日8:00前には出勤、出席しなくてはならない。だから試合に出られなくても少しでも練習はしておきたい。そんなアマチュア選手の置かれた状況を理解して頂きたいものです。
 対戦する二チームの何人もの選手が、風雨の中、茅ヶ崎までやってきて、ボールに触れることもできずに、ただびしょ濡れになっただけで深夜に帰っていくのです。主審がただ一言「ボールを入れないように注意して頂ければいいですよ」と言ってくれればいいものを...と思うわけです。 
 両チームスタメン22名を筆頭に、合計30余名のアマチュア選手が、前の試合の主審の狭量な判断のために、不十分な準備で試合に臨み、ボールを蹴れずに帰宅することになる選手も数名いる、ということに思いをはせていだきたいものです。
 自分の判定とは、それほど無関係他者の行動を規制してまで完璧を期すべきものなのでしょうか? 私なんぞ「絶対にボール使用禁止」などといわれてしまうと「ああそう、一度でもボールが転がりこんでしまえば、全てが台無しなにってしまうほど審判技術、判断力が低い主審なのね」「それほど下手な審判ならしょうがないな」と思うようにしています(笑)。