何がパワハラ?!

 レスリング栄監督のバワハラ問題を受けて、所属先の至学館大学の学長さんが会見を開き、怒りの感情をぶちまけました。栄監督には練習場所を仕切るほどのチカラはない、その程度の男。伊調さんは選手なんですか? などなど、報道陣を隅々までを睥睨しながら「オマエら文句あんのかよ、こら」といった雰囲気。
 悩みがあれば学長の私に直接、言ってくればいい。学校には学長直結の相談制度もある。練習場所の許可を出すのは栄監督ではなく私、だから私に言ってくればいつでも場所は空ける。などなど。よく少年スポーツや学校の部活の監督が「お前ら、言いたいことがあったらいつでもオレに言えよ」と脅し半分みたいな口調で言っているのと似ていましたね。そういう御仁は「いつでも話を聞くぞと言っているのだが、今の子はおとなしくて誰も言ってこない』などと苦笑いしている(笑)。とても気楽に話せるものじゃない雰囲気でを自ら作っていることに気がついていない。
 ともあれ「栄監督がバワハラだなんてとんでもない」と怒っているご本人が「パワハラの見本」みたいになっている。発言の一つひとつが、「このヒト怒らせたらマズイ」「面倒くさいオバサンだ」という雰囲気をつくりだしている。学長、レスリング協会役員という立場で発言していることが、様々な「忖度」につながっていることに気がつかない。まぁ、なにがしかの権力を持つということは、あのような人間をつくるということですね。レスリング界だけでなく、あちこちによくある話。
 さて、栄監督。学長センセイによれば、バッシングで心神喪失状態とのこと。目を離すと自殺もしかねないほど危険な精神状態とのこと。でも、学長センセイの言うように、身に覚えがない、濡れ衣、誤解だとするなら、正々堂々と反論すればいいと思うのですが...。「違いますよ」と言って堂々としていればいい。衰弱するほど弱っているなどと聞くと、もしやいくつか身に覚えがあるのでは、と邪推したくなります。
 もしバッシングの内容が間違いなら、代表監督として跳ね返すだけのタフさ、ほしいですね。98フランスW杯で指揮を執った岡田武史監督、カズ、北澤を外してからというもの、カミソリ、ナイフの入った手紙など日常茶飯事、爆破予告、子どものいじめ被害などに悩まされ、自宅周囲は警察の警備に固められました。「仲間」だと思っていた元選手や指導者たちも次々にメディアで批判のコメントを出し、四面楚歌どころが「誰一人として味方がいなくなった。最後は女房一人だった」と語っていました。
 「でも、日本代表のことを世界中の誰よりも一番、深く考えているという揺るぎない自信はあった」と岡田氏。その思いが折れそうな心を支え続けたとしています。栄氏への批判が本当に的外れなら、氏がどのような心構えで行動していたのか、明らかにしてほしいところです。