ドーハの悲劇から24年、勝負弱さは全然変わってないです

 W杯予選イラク戦、引き分けでした。
 相手は内戦、テロ等で、代表チームの結成、強化も十分にはできないような国の代表。しかもすで予選敗退が決まっている。監督も替わって選手も入れ替わっている。そんな相手に対して、世界有数の経済大国でJ3までプロ組織があって、東京のど真ん中に自社ビルを構えるほど裕福な予算を持つサッカー協会の下で、高いギャラの監督と、海外チームのオーナーになったり女優と結婚したりできるお金持ち選手の集団が勝てないって、どういうこと(笑)。
 日本にとって、失点場面以外に「肝を冷やした」というビンチの場面はほとんどなかったですよね。言い換えると、本当に危なかったのはあの失点場面の一回のみ。そのたったの一回をものにするイラクはさすがです。たった一度の...と悔やんでみても、勝負とはそういうもの。「こっちの方が押していた」とか「こっちの方がいいサッカーをしていた」という日本流の言い訳は世界では通用しない。
 ああ、これが相変わらずの日本のサッカーなのだな...と思ったのが右サイド深くまで突破した酒井がクロスを入れた場面。「ここしかない」というタイミングで大迫がゴール前に飛び込むのですが、酒井が一歩だけ余計にドリブしてしまいタイミングを逃したため、大迫が「ここ」というスペースを行き過ぎてしまい無理なシュート体勢になってボールはゴールポストに。大迫の怒りの表情が映されていましたが、きっと「声をかけたタイミングで蹴ってくれよ!」と言っていたのではないでしょうか。
 もう一つ、「あ~あ」と思ったのが1-1で迎えた後半40分前後のプレー。どうしても勝ち点3、つまり勝利がほしい日本がFKを獲得、キッカーは本田。相手ゴール前にはCB吉田も上がってスクランブル体制。しかし本田のキックは日本の選手が誰一人触ることなくイラクDFに簡単にクリアされます。
 おいおい、ここでそんな軽さでいいのかよ...キックの精度って、こういう時にこそ発揮されてナンボじゃないの?飛び込む側も、ファーサイドで吉田が構えるしかオプションなかったの?時間帯、状況からして、そんなにあっさりクリアされていいプレーなの?
 続く次の場面、押し込んだ日本が左サイドでスローインを獲得。へディングを活かそうと吉田は前線に残ったまま。何としてでもゴール前にクロスを入れねば...と見ていると、あれれっ...スローインはあっさりと相手に奪われボールは大きくクリアされます。「何だよ!!!」と吉田は大きなジャスチャーで悔しがってました。
 このように「ここぞ」という場面をあっさり逃してしまうのが、ずーっと直らない日本のダメなところ。たった一回のチャンスを乾坤一擲で活かしたイラクとの大きな違いです。
 考えてみれば、ドーハの悲劇の時も、同じイラクに終了間際に追いつかれたんですよね。あれから24年、日本サッカーは全然進歩していないってことですか(笑)。