皆さん、どう思いますか?

 ずいぶん長くご無沙汰してしまいました。久しぶりに、ぜひ、考えていただきたいと思うことを書きます。
 先日、Jリーグ千葉vs徳島戦で、徳島・馬渡選手がボールボーイを小突くような行動を取り、レッドカードを受け、謹慎等の処分を受けました。
 判定、処分、いずれに対しても何の異論もありません。また、その一連の騒動に乗じて千葉サポーターが徳島のボールボーイに暴力的威嚇行為をしたことで処分を受けましたが、これに対しても何の異論もありません。
 ただ一つ気になるのは、連日、馬渡選手をつるし上げて「馬渡けしからん」という世論のみが吹き荒れたこと。もちろん馬渡選手が叩かれるのはいたしかたないのですが「馬渡けしからん!!!ひどいヤツだ」と大合唱するだけでボールボーイの行為に対して何も議論が起きなかったことが???と思うわけです。
 そもそもボールボーイが普通に素早くボールを馬渡選手に渡していれば何も起きなかったわけで、ボールボーイの行為に何か問題はなかったのか、という検証も必要と思うわけです。
 こういうと必ず「だってボールボーイは中学生だぞ」と叱られるわけです。「相手は子どもだろ?」「子どもに暴力振るったんだぞ」と。そうなんですけど、「中学生のやることだから...」と、すませていいものなのか?正すべき事があれば正さねばならないのではないか、というのが私の意見です。
 アルバイトであろうが、ボランティアであろうが、プロの試合会場で選手と直接接する形でお手伝いをするなら、それなりの覚悟と姿勢で臨むことが大事です。ボールボーイをするくらいですから、当人は間違いなく地元のサッカー部がクラブチームの選手であるはずです。まったくサッカーに関する知識がないわけではなく、ボールボーイの果たすべき仕事についてはそれなりに理解しているはずです。あのような場面になったとき、選手がボールボーイに何を求るかは、サッカーを経験してきた立場として「まったく知りませんでした」ということはないはずです。
 動画を見ると、馬渡選手が「早く、早く」と要求しているのにボールボーイはなかなかボールを手から渡さず、馬渡選手が怒って近づいてきて始めてポイと捨てるようにボールを渡しています。私たちはボールがラインを割ったらすぐに手渡される光景を見慣れています。それは時として、あまりに早く渡しすぎ、選手が取り損ねてピッチ内にボールが転がってしまうことさえあります。そういう日常の基準から見ると、残念ながらあのボールボーイの中学生の手渡し方は、誠実に役目を果たしていたようには見えません。私は「確かにあれでは選手はカッとなってしまうだろうな~」という感想を持ちました。
 数年前、プレミアリーグで、リードしているホームチームのボールボーイが、追いつきたいと焦る相手チームの選手に意図的にボール遅く渡そうとして、怒った相手選手に乱暴な行為をされたという事件がありました。サッカー大好き中学生なら、もしかしたらそういう情報も知っていたかもしれません。あの場面、千葉GKがペナルティエリアを大きく飛び出していて明らかに千葉のピンチ。千葉ファンからしたら徳島の選手にできるだけゆっくりボールを渡してほしいわけです。「勘ぐりすぎ」と叱られるのを覚悟で言うなら、千葉ファンのボールボーイが意図的にゆっくりボールを渡した....ということだって可能性ゼロではないわけです。
 言うまでもありませんが、だからといって「馬渡選手がキレるのも仕方がない」と言いたいのではありません。いかなる理由があれ、馬渡選手の行為は許されません。しかし、馬渡選手をよってたかってバッシングするだけでなく、そのような事態を招く事になった要因はしっかりただしておき、次回から気をつけて予防する必要があると思うのです。
 ボールボーイを務める時は、ボールを直接やりとりする選手が不必要に感情を高ぶらせるようなことがないよう、また、誰が見ても両チームに平等にフェアに接しているよう心がけ、スムーズな試合運営に協力するという態度を心がけねばなりません。誤解を招くような行動は極力慎むようにしなければなりません。それをアルバイト中学生各自の「自覚」にまかせることが難しいというなら、アルバイト、ボランティアを管理する主催者が事前にしっかりと「協力してもらう上でのお願い」として姿勢、態度を教育しておかねばならないでしょう。問題が起きても「中学生のやることなので」と幼い子どものような扱いをすることは、かえって中学生自身の自立や自覚の発達を阻害することになると思います。