ルールを逆手に取る...を考える

 JリーグCSは鹿島の劇的な勝利で幕を閉じました。
 このCSで気になったことが一つあります。第一戦、浦和の勝利を決めたPKです。興梠選手が倒されたことによるものですが、同選手は後ろから迫り来る鹿島DFの気配を感じ、それを狙っていた由、語っていました。しかも、大げさに倒れると逆にシミュレーションのように見えるので、敢えて地味に倒れたとか...。
 このPKにつながるプレーに象徴されるように、近年、ファウルを「もらいに行く」という概念が定着しています。FKから直接ゴールを狙えるキッカーが増えていることもあり、もはや上手な「倒れ方」はサッカーの戦術の一つにもなりつつある気がします。
 私はこうした考え方は好きではありません。プロならまっとうに技術、体力、戦術で勝負してほしいと考えます。もちろん、そうした駆け引きも戦術のうち、といえばそれまでですが...。
 ところで日本柔道はリオ五輪で大活躍しましたが、その一方で「指導」による敗戦という、実に納得のいかない試合も多くありました。投げるでもなく、組み伏せるでもなく、関節を極めるでもなく、何だかよくわからない基準でどちらかに「指導」が言い渡され、そのまま時間が過ぎると「指導」を受けた方が負ける。解説を聞いていると、どうやら相手に「指導」が行くような戦い方もあるらしい...。
 そんな柔道の本質から外れたようなルールがあるからでしょうね、無差別級のリネール選手のような、強さなど微塵も感じられない、実にみっともない、恥も外聞もかなぐり捨てた戦い方による金メダルが生まれてしまうのは...。それも5分という短時間で無理矢理に勝負を決しなければならない「時間通りテレビに映る柔道」の宿命なのでしょうか。
 ともあれ、第一戦の興梠選手のような、ルールを逆手に取るようなプレーは、どうしても好きになれません。逆にサッカーのFWなら、押されても引っ張られても、反則などものともしない突進をするような逞しいプレーが見たいものです。第二戦、興梠選手は見事なシュートを決めました。あんなにいいプレーができるのだから「上手い倒れ方」なんていらないのに...と思いました。
 第二戦は、今度は浦和がPKを与えて制覇を逃すことになりました(このPKはまっとうなPKでしたね)。何だか第一戦の因果応報のようにも思えました。
 さて、ルールを逆手に取る駆け引きは嫌いだと言っている私ですが、考えてみれば、自分の指導するチームに「オフサイドトラップ」を仕込んだことがあります。これもルールの逆手を取るプレーと言えば、そうかもしれません。私もやっていました(笑)。でもまぁ、オフサイドは間接FKしかもらえず、それで直接ゴールを狙うことはないので、いいか(笑)。...勝手な言い分?