レスター優勝から考えること

 レスター優勝しました!!!
 オッズ5000倍だったといいますから「そもそもあり得ない」というレベルの話。現地コメンテーターの多くも「サッカー界の」奇跡、という表現ではなく「スポーツの」奇跡という表現を使っています。どんなスポーツでもこんなこと前代未聞ということです。
 レスターがどんなチームなのか、大活躍のバーディーがどんな経歴なのか、各メディアがこぞって取り上げるでしょうから、ここで詳しく紹介する必要もないでしょう。
 レスターがプレミアリーグで優勝したことから学べることがあります。
 まず一つ目は、チーム、選手とも「自分が何ができて何ができないか」をよく理解し「勝つために何をなすべきか」を徹底することで、無名軍団が年俸が何十倍ものスター軍団にさえ十分に立ち向かえるということ。
 決して華麗ではなく、美技が盛り込まれているわけでなく、手の込んだ戦術があるわけではないレスターのプレースタイルをどのように評価するかは意見が分かれることでしょう。多分、日本なら、南アフリカW杯で岡田監督が批判されたように「つまらないサッカー」とか「将来につながらないサッカー」などと言われることでしょう。「所詮リアクションサッカー、カウンターだけじゃないか」などという批評も出ることでしょう。
 しかし、一発勝負のトーナメントではなく、十二分に研究されながら戦う長期のリーグ戦でさえも戦い抜けた意思の統一は素晴らしいことと思います。「こんなサッカーオレがやりたいスタイルじゃない」なんてブーたれる勘違い選手など一人もいなかったんでしょうね。
 二つ目は、無名でもロートルでも、しっかりと役割を理解し、持っている長所が発揮できる起用をし、信頼して使い続ければかなりの戦力になるということ。
 少年からプロまで、個人能力の高い選手を集めて並べれば勝てるのは当たり前ですが、指導、コーチングの手腕がわかるのは、評価の高くない選手の使い方。ラニエリ監督はチェルシー時代、期待したほどの結果が残せませんでしたが、スター軍団の「並べ替え」よりも無名軍団の「やりくり」が性に合っていたのですね。
 来季チャンピオンズリーグに出場するレスターが、あの戦い方でどこまで行けるのか、興味津々ですが、その前に、活躍した選手の多くが格上のビッグクラブに引き抜かれてしまうでしょうね。何人が残るのでしょう。
 一方で、大型補強が実現するかもしれません。そうなると今度は、現在のビッグクラブがそうであるように、スターの「並び替え」的なチームに様変わりし、レスターらしさがなくなってしまうかもしれません。ファンは勝ってくれれば何でもいいのかもしれまぜんが...。