武藤の行方は?

 FC東京の武藤選手にチェルシーのオファーがあったとか。
 もちろん、武藤は今、日本で一番の成長株の一人ですから、いいところに目をつけたなという感じはあります。しかし...Jリーグで得点を重ね、代表でも活躍し、ツボにはまった時のプレーはなかなか迫力があるとはいえ、まだまだ試合中に「消えている」時間が長く、また、周囲とリズムが合わない時の低調ぶりが気になるだけに、いきなりチェルシーでは...という心配はあります。
 なにせシェフチェンコだって、フェルナンド・トーレスだって本調子になれないまま去ったようなチームですからね。ライバルはディエゴ・コスタドログバですよ!!!まだまだ日本代表の絶対的エースとは言えない状態では、悲観的にならざるを得ません。まぁ当然のことながら、入団後、すぐにローン移籍で他のチームに武者修行という形になるのでしょうが...。
 とまぁ純粋に選手の能力面であれこれ言うのはあまりにナイーブ(笑)。話の裏を読むまでのこともなく、武藤へのオファーが日本向けのPR戦略の一環であることは明らか。チェルシーは来期からユニフォームのゼッケンスポンサーとして日本のヨコハマタイヤと大枚75億円あまりの契約を締結しています。75億円もはたくからには、欧州だけじゃなくて日本でも注目されるようにしてよ、とタイヤの神様の声が囁かれたのでしょう。
 チェルシーはオフシーズンには日本ツアーが計画しているとか。そこにチームの一員として武藤がいれば、TV放映権やら何やらで、ガッポガッポと札束が舞い込むことでしょう。とはいえ、今やサッカーは押しも押されもせぬビッグビジネスですから、そうした算段は経営上しごくまっとうな企画。地方巡業で地元出身力士に活躍させる大相撲だって、同じような発想。
 言うまでもありませんが、そんなことを百も周知で賭けに出るのがサッカー選手。そこから這い上がるかどうかは本人の力量しだい。ただ、ご栄転したものの、大して出場機会に恵まれずに結局、出場機会を求めて帰国、というケースも少なくないので、武藤も大切な時間を浪費しないように塾考してほしいものです。