駅伝というガラバゴスの中の光明

 新春恒例の箱根駅伝青学大が好記録で優勝しました。
 高校も大学も、学校のスポーツはすべからく、要は好選手をどれだけ集めたかが勝負ですから、リクルート手法に注目することはあっても、特に指導のノウハウなどに注目することはありません。3~4年間という限定された期間の勝負なら、誰が指導しても好選手が多いほど勝つ確率が高いのは当たり前ですから。
 しかし、今年の駅伝で、青学大の監督が「選手に怪我をさせない」というポリシーを貫いたという点は評価したいと思います。
 駒澤大のアクシデントに象徴されるような、本番で完走もままならず消耗して失速という選手は、毎年のようにいます。走力でスポーツ推薦で入学し、「駅伝」という非常に特殊な形態に特化した練習だけを行い、年中、合宿に明け暮れて、その日、その時がスタートと毎年わかっていても、それでも調整に失敗する。そんな選手の様子を見て私は毎年、いかに活動の内容か不適切であるかを示すものだ、と思っていました。
 そんな中「怪我をさせない」ことを第一に、選手の体のケアを重視した青学大が優勝したというとは、一定の意味があると思います。トレーナーを増員し、水風呂など疲労回復のためのハードウエアを充実させ、ストレッチングの手法なども変えたそうです。私も経験あるのですが、大学ではどこでも「昔からこうだ」というようなつまらない伝統のようなものがあり、かたくなに変更を拒む気風が残されます。それが合理的でないと判断して、きちんと理にかなった方法を取り入れた青学大の決断は良かったと思います。
 それにしても、駅伝という世界でも日本でしかやっていない特殊な形態の競技にこれほどまでに熱中することが、国際的な長距離ランナーが育たない理由であるという批判は長年、繰り返されています。そういえば「山の神」柏原君は今、実業団でもそれなりに活躍しているのでしょうけれど、オリンピックの5000m、10000mのメダル候補という話は聞きませんね。男子マラソンは、長年はるかにメダル圏外という悲しい現実が続いています。