野球にもシミュレーション?

 驚きました。あるんですね、野球にも。審判の判定を欺くシミュレーションが。
 サッカーでは、あたかも相手のファウルで倒されたと見せかけてファウルの判定を受け、FKやPKを得るシミュレーションというブレーがあります。卑怯で汚い手だとして、大変嫌われるプレーです。特に私が解説しているイングランドプレミアリーグでは、一度でもそのようなプレーをすると、その選手はしばらくの間「ダイバー」(ダイビングする人)と呼ばれ軽蔑されます。

 日本シリーズ第5戦、4回、巨人・加藤選手の演技は真に迫っていました。日ハム多和田投手の投球は確かに際どいインコースに飛びました。VTRで見ればボールはバットの根本に当たってはいましたが、加藤選手の体にはまったく当たっていません。しかし加藤選手はあたかも頭部に死球を受けたようにヘルメットを抱えて昏倒し、大袈裟に痛がりました。
 判定は危険球ということで多和田投手は一発退場、栗山監督は必死に抗議したものの判定は覆らず、日ハムの投手起用のプランは想定外の変更を余儀なくされ、敗戦の一因となりました。
 野球では「デッドボールをもらってでも塁に出ろ」などというようですが、そんな三流チームがやるような、なりふり構わない手を湯水のように強化費を使って選手をかき集めている金満チームがやってくるとはね~。
 それにしても加藤選手、大したモノです。演技は実に素晴らしかった。本当に痛そうに見えましたから。もっとびっくりしたのは、その加藤選手の心臓の強さ。「演技を磨く時間があったらなら、正統なバッティング技術を高めろよ」と非難されそうなところを、次のチャンスでは大ブーイングの中、ヒット打ちましたからね。毛が生えているどころか、鋼鉄のトゲに囲まれた心臓ですね。
 そうでしょうね。それくらい図々しくなければ、大舞台であんなことできませんよね。いくつものカメラとスローVTRがあるこくらい、知ってるわけですから。そこで敢えて名演技を打つというのは、よほどの覚悟があるか.....それとも本当のノーテンキかどちらかのはずですよ。このまま日本シリースは巨人が優勝することでしょう。ぜひMVPは加藤選手にあげて欲しいですね。ついでに主演男優賞もね(笑)。