遅くなりましたがスペイン戦です

 遅まきながら、ここのところ忙しくてなかなか書けなかった五輪サッカーのスペイン戦について。
 スペインならびにバルセロナのサッカーについて、究極のサッカーであり、覆すことの出来ない理想のサッカーというような評価をする人がいます。いったいどこがあのチームを倒すのだ、と。私はその話題を振られる度に、次のように応えていました。

 すなわち、バルサならびにスペインのサッカーの質の高さは認める。しかし、別にそれが究極のサッカーとも思わないし、極論すれば70年代のオランダ、80年代のミランのように、歴史に刻まれた一つの優秀なスタイルにしか過ぎないと思う。なぜなら、あのサッカーは、バルサ、あるいはスペインの理想、哲学、育成が結実した形ではあるけれども、一方で、シャビ、イニエスタ、ビジャら、傑出した能力を持つ選手が同時代に同年代でピークの状態を迎えていた、という要素に支えられている部分もかなり大きい。だから彼らのピークが下り坂になるとともに、あのサッカーもやがて輝きを失うだろう。その一方で、もし彼ら抜きの状態で、バルサで育成され代表に選出された別の選手たちによって、常にあれと同じ質のサッカーを保ち続けていたとしたら、それは本当に究極のサッカーと言えるだろう、しかし、多分、彼ら抜きで、単純にバルサとスペインの哲学でプレーするだけでは、あのサッカーで勝ち続けることはできない思う。だから、彼ら抜きのスペインは、さほど怖い存在ではないと思う...。
 

 さて、五輪でのスペインチーム。私の勝手な放言が少し当たっていたようにも見えました。スペインはバルサA代表と同じようにポゼッションするのだけれど、あの傑出したタレントたちに匹敵する選手がいないから、日本がガンガン前からプレスをかけるといとも簡単にパスが分断されてしまいましたね。そればかりか、永井のチェイスにイージーミスまで披露してくれる始末。メッキが剥がれた高級品まがい、という感じ。同じことやろうとしても「できる能力のある選手」がいなければダメなんですね、やっばり。
 バルサやスペイン代表は攻撃が失敗した後の守備への切り替えが恐ろしく早く、簡単に反撃させてくれないのだけれど、五輪代表はそれがないから、日本はものすごく簡単にカウンターを仕掛けることができました。永井、清武...プロとは思えないへナチョコキックじゃなければ、5点くらいは入っていましたよね。
 それにしても清武君、力不足で味方に届かないナヨナヨバスで大丈夫ですか。来期はブンデスですよ。足首だけでサッカーしないで、もっと「脚」でサッカーしましょうよ。かつて、あの釜本さんが「今の若い選手はボールを蹴っていない。オレに言わせれば、ありゃ触っているだけだ」と嘆いていましたが、言い得て妙ですね。
 ともあれ、チャンス10回に1点くらいという、恐ろしく効率の悪いサッカーではあるけれど、「頑張っている感」は感じる五輪日本代表。ここまでの五輪代表は「勝負弱い」「情けない」という印象が多かったけれど、泥臭くとも勝ちに行くぞ、という意欲は感じます。どんなに効率が悪くてもいいから、次もとにかく相手ゴールネットを揺らして下さい。